心理学の理論は、わかっていてもそのようにしか知覚出来なかったり、

錯誤を犯してしまったり、ほぼ自動的に処理されてしまう頑健なものが多い。


例えば、ギャンブルが好きな人は「次こそ当たるはず」と言ったりする。

これは『賭博者の錯誤』に陥っている可能性がある。
そして、彼は『変率の強化スケジュール』により強化されているのかもしれない。

こんな人を見かけたら呆れないで、「儲かったら風俗を奢ってくれ」などと言い、親指を立ててみる。


会社の採用担当者やOB・OGを見ただけで「この会社は自分に合っている」などと言っている人は

『サンプルサイズの考慮不足』の虚偽を犯してしまっている。

彼は、ほぼ自動的に『利用可能性ヒューリスティック』を用い、情報処理能力の節約をしているのだろう。
しかし、自分も同じ過ちを犯しがちだということに気づかされる時もある。
そんな時、「人事は会社の顔だしね」などと言い訳し、親指を立ててみる。

こんな言い訳も、『セルフ・ハンディキャッピング』により他者からの否定的評価を避けるためだ。


このように、心理学を勉強すると他人や自分に優しくなれる。
イライラや怒りが解消されることも多い。

しかし、注意しなければならないことは、理論は万能ではないということである。
現実世界において理論では説明できない例外など無数にある。

理論を当てはめて考える時は、慎重に行う必要がある。


*これらの応用に関しては、私の独断と偏見が多分に含まれています。


[今回の参考文献]


考えることの科学―推論の認知心理学への招待/市川 伸一

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