この企画は、日本各地に点在するミステリースポットを紹介していくものである。


第1回目の今夜は、岐阜県養老町にある「養老天命反転地」を紹介しよう。

「養老天命反転地」 は、荒川修作とMadeline Ginsの作品である。

    

広大な敷地内には、平坦な路が全くなく、すべて凹凸で構成されている。


突如として真っ暗な闇の中へ至ると思いきや、小高い丘が開けたりする。

家具やキッチンが壁で真っ二つになっている家があり、地図のようなオブジェがある。


    

この不可思議な庭には、

もののあはれ変容器
地霊
極限で似るものの家
陥入膜の径
想像のへそ


など、ユニークな名前がつけられたオブジェが点在している。

現代芸術に疎い私には理解不能である。


しかし、荒川修作氏 のいうように「養老天命反転地」が知覚・イメージ・建築の降り立つ場であるならば、

心理学にとって重要な場になるのかもしれない。

この地では、人間の感覚器官が全く役に立たないような感覚に陥る。
それでいて、身体と感覚との連動性を強く認識させられる。


身体の傾きによって、

遮蔽、陰影、光学的流動、テクスチャーなどが一様に定まらず、絶えず変化を繰り返す。


哲学的、心理学的、そして建築的な匂いがするのである。

ギブソンの『生態学的視覚論』をもう一度読み直そうと思う。

そんな「養老天命反転地」は、言うまでもなくミステリースポットであろう。



[今回の参考文献]


生態学的視覚論―ヒトの知覚世界を探る/古崎 敬

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養老天命反転地―荒川修作+マドリン・ギンズ 建築的実験/毎日新聞社
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