武器を持てば、使いたくなる。
豊かになれば、助長する。
楽な方を選択し、快楽を貪る。
どうやら人は低きに流れ、人の心も低きに流れるようだ。
だが、それは自然なことではないだろうか?
複数の選択肢がある場合、得られる利益とリスクを考慮し、自分にとっての利益を最大にする最適解を導出する。
また、考慮されるのは利益とリスクだけではない。
自分の能力・金・時間・労力・状況など実に多数だ。
興味深いのは、この時必ずしも利益が最大になるものを選択するとは限らないということである。
それを人は、「妥協」と呼ぶかもしれない。
妥協は、一般的・社会的にあまり好まれる行為ではない。
しかし、現実問題として妥協しない人間の方が少ない。
多くの人が、少なからず妥協して生きている。
むしろ、妥協しない人間は傍目から見ると痛い人間に映る。
安定を選択するか、危険でも最大の利益を選択するかは個人の自由だが、リスク・ヘッジは必ず必要になる。
人の心が低きに流れても、落胆も絶望もする必要はないのである。
「やってみなければわからない」という発言は多くの場合、賛成できない。
なぜなら、自分に出来ることと出来ないことを区別できないと露呈しているからだ。
絶対に自分に出来ないことは、少なからずある。
もちろん、出来ないことが出来るようになることもあるが。
理想と現実の狭間で苦悶するよりも、自分がどのような立場にあり、どのような能力を有しているかを常に把握する必要がある。
要するに、現状を正確に把握し、背伸びしないのが理想だということだ。
[今回の参考文献]
- 攻殻機動隊 S.A.C.2nd GIG 13 <最終巻>
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- すぐれた意思決定―判断と選択の心理学/印南 一路
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