ゴルフ場設計家のブログ
「ゴルフの神髄は、自然を愛し、健康を保ち、そして快適な会話を楽しむことだ。近年、基本ルールを踏みはずし、自分が誤った行動をとっても恥じない人間が増えつつある。このことはさびしく、悲しいことです・・・」
ゴルフ場設計家の追い求める本当のゴルフとは、なにか。
ブログを通じてご紹介できればと思います。

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ゴルフコースにも物語が必要

ゴルフ場づくりには物語が必要なんです。小説でいうとハードボイルドの小説をつくったり、メルヘンの小説をつくったりいろいろ小説そのものにも形がありますね。それから、9ホールで上がってくる短編小説を2つ組み合わせるのと、18で一挙に戻る長編小説を書くのといろいろ違います。

しかしながら、そこに登場してくるのは、今18のホールで考えるならば18人の人間が登場したら一番の理想なんですね。例えばヨーロッパのメルヘンチックなコースをつくろうとすれば、王様がいて、王女がいて、きこりがいたり、猟師がいたり、農夫がいたり、いろんな人間たちがいいバランスで1番から18番のホールに1回ずつ登場できたらこれは一番理想なんです。

その反対に、たった一人のやつが18回出てくるコースがある。どういうコースですか?河川コースですね。河川は水も関係ありますから、アップダウンつけられないでしょう。そうしますとフラットなところで何番だったか全然頭の中に残らない。3番も6番もなんだか一緒だったし、太陽に向っていたか背中だったかぐらいで全然わからないですね。あれはどういうことかといったら、一人の人間が18回出て来たんです。

ところがそういうホールも1ホールあっていい。しかし、革のジャンパーを着て、山に登り、獣を追う猟師、そういうふうな感じのホールがあったり、美しい少女が出てくる水辺のきれいなたたずまいのホールがあったり、
いろいろホールをやることによって、18人が1回ずつ出てくる、こういうホールが一番物語としては読んでいておもしろい。

そしてこの物語の中に起承転結が多少あって、例えばゴルフ場でいうと、3ホールとか4ホールごとに1つのセミファイナルがあって、そしてファイナルに向かって流れるような(=プレーヤーが、今度はどんなホールかな、おっ出てきた、出てきたとか、今までおれを打たせなかったけれど、ここでようやくおれの力を発揮して思い切り打たせるホールが出てきたとかいう)色づけとかアクセントとかそういうことができると非常にゴルフ場はいいんです。

良いゴルフコースと戦略性

良いゴルフコースというのはどういうコースをいうんでしょうね。

真っ平らでフェアウェイが広くてまっすぐ伸びていて、できれば7,000ヤードぐらいあるとチャンピオンコースというんだからこれがいいコースだと思いますか?自然の持っている起伏や、自然の持っているアンバランスなものを、バランスをとったり、アンフラットなものを組み込んだりして構成されているスポーツですから、平らなものをつくったらプラクテスレンジ(練習場)になってしまいますね。


では、良いコースというのはどういう定義をしたらいいんでしょう?

いろいろな言い方があると思うのですが、日本の場合においては、あらゆるランクのプレイヤーをして、それぞれのランクで自分のゴルフプレーの楽しさを引き出してくれるようなセッティングがされているというか、内容を持ったコース、それがいいコースだといえると思うのです。


うまい人にはすごくあそこはいいけど、下手な人はとってもやってられないということは日本ではとても許されませんね。コマーシャル的に考えると、日本では一つのグランドであらゆる能力の人が遊ぶようになっていますから、偏るということがなかなか難しいんです。