コースタイム
2月10日
09:34清里スキー場-11:56登山道入口-13:56小天狗-17:19大天狗(幕営)

2月11日
06:43大天狗幕営地-11:26赤岳山頂-16:24牛首山-17:41清里スキー場頂上-(ゲレンデ降りる)-19:00清里駅


 昔話にあったか、富士山を睨み付けるように聳え立つ、赤岳に正対するような県界尾根である。現在では夏でも余り人気のないルートだか、かつては赤岳登山のメインルートとして栄えたという。そう言う自分も今回が初めてである。無雪期に歩いて下見でもしておけば良かったが、地形図とウェブ上の他人の記録をもとに計画を立てた。

2014年2月10日

 小諸発の小海線始発に乗り込み2時間ほどで清里駅に降り立った。観光シーズンではない冬の清里はひっそりとしていた。

 

 前週に降った雪が道端につもっている。県界尾根の登山口がある清里スキー場までは歩いて1時間半程度である。歩いていると車が1台やって来て、ありがたいことにスキー場まで乗せて頂くことができた。その方はスキー場のスタッフであった。スキー場まで続く道路の終端からこの登山が始まる。

 

 

 かんじきを履いてしばらくは林道を歩く。冬にこんな所に来る物好きはいないだろう、人の足跡は無いが、人間の使う登山道は動物にとっても使いやすいのか、シカの足跡はついているのでその上を歩くと少し楽だった。シカの足跡はとても多く、鳴き声と群れになって斜面を走っていく様子が見られた。シカが増えすぎて高山植物の芽等が食害を受けているようだ。ナチュラル(natural)とカルチュアル(culture)は共存しない。
 雪が深いのでペースは遅い。スキー場から尾根への登り口まで平地1.5km位だか2時間以上を費や した。


 そこから2時間程度で尾根上の小天狗という地点に出た。小天狗からしばらく行くと視界の開けた場所があり、赤岳から横岳を一望できた。目指す赤岳はまだ遠く思えた。14時半頃に昼食としてパンを食べた。
尾根にでても雪の深さは変わらず、進むのは大変だった。
 大天狗に着いたら17時を過ぎたのでテントを張った。暗くなってきたのでヘッドライトをつけようとしたら、つかなかった。いつも山で使うヘッドライト見当たらなかったので作業用のヘッドライトを持ってきていたが、ザックの中でも勝手にスイッチが押され電池を消耗してしまった。そこは盲点だった。予備のハンドライトを使用した。
 夕食はアルファ米の五目ご飯と味噌汁とワインと柿の種を食べた。
 20時過ぎに就寝した。夜中に目覚めたらワインが凍りついていたので冷凍庫内程度の気温だろうが、寝袋を2重にして持っていったお陰でそれほど寒くなかった。夜中に少し風が吹いていた、月が明るくテントの内側まで照らした。

2014年2月11日
4時に腕時計のアラームに起こされた。まだ眠いので30分程二度寝した。

朝食として魚肉ソーセージ入りラーメンとロールパンを食べた。
濡れたものを乾かしたりしていたら出発準備が7時前になってしまった。

 

 昨日に続いて樹林帯の尾根を歩く。だらだらとした登りが森林限界まで続いた。樹林を抜けてしばらくして目の前に雪の壁が現れた。壁の雪を削ってみたら岩肌が見えたのでピッケルとアイゼンを出した。右手側は難しそうだったが、地図的には右斜め上に進むようになっていたのでそれを信じるしかなかった。

 自分はビレイヤーもなく長靴にアイゼンを縛り付けているだけなので、無理のある動きをしたらすぐに死んでしまうので慎重に行動した。

 

これを切り抜けて少し登ると赤岳展望荘とほぼ同じ目線になった。少し上方に赤岳展望荘と赤岳山頂への分岐があった.

 分岐からまたトラバースして赤岳山頂への最後の登りに取り付く.また雪が深くなっているのでアイゼンとかんじきをミックスして使った.

 最後の登りは赤岳頂上山荘へと一直線に続くリッジ.山荘の屋根がすぐそこに見えるが,一歩一歩ゆっくりとしか進めなかった.右手側には地蔵の頭から赤岳山頂を目指す人の姿が見えた.

 

 これを登り切ると赤岳頂上山荘の真下に出る.山荘の脇では数名が休憩をしていた.
「一人で県界尾根やったのか,すごいなぁ.」「道無き道を下から登ってくるのが見えた.」「長靴とゴム手袋で登ってきたの!意味分かんねぇ!」
声をかけられ,なんとも言えない自己顕示欲が満たされる瞬間である.

 

 山頂はいつも通り風が強く巻き上げられた細かい氷がキラキラ光って飛んでいった.寒いには寒いが去年来た時よりは寒くなかったと思う.快晴で最高の景色が見られた,冬の北アルプスにもいつか行ってみたくなる.記録的大雪になったところもある太平洋側は曇っていて富士山は見えなかった.
 山頂で魔法瓶の中のお湯をカップに出したらそれが最後の一杯だった.登りで思ったより水分を消費していたようだ.これから下山まで飲み水なしになってしまって少し不安になった.
 登ってきた県界尾根を下るのはかなり厳しそうだったので下山ルートはちょっと死ににくい真教寺尾根を選択した.

 

 赤岳山頂下のから文三郎道との分岐から先には人の通った形跡が発見できなかった.当然真教寺尾根も今日は誰も通っていない.

 真教寺尾根の下りは雪と岩場と草付きの混ざった下りがいのあるコースだった.赤岳山頂に着いたのが昼前だったので今日中に下山できるか微妙なラインだった.
 岩場を下り終えて樹林帯に戻ってくるとかんじきを履いてまた雪をかき分け進む.降りは良いが,登りはわずかでも疲労した足にこたえた.
 牛首山を過ぎたあたりで日が傾き暗くなってきてしまった。

 

 賽の原手前の開けた場所に出ると、遠望に富士山が顔を見せ夕焼けに染まっていた。ようやく近付いてきたスキー場の照明を目指して道を急いだ。
 スキー場の頂上についたがリフトはとっくに終了していた。すっかり日が暮れてしまったので誰もいないゲレンデを下った。ゲレンデを下り終えると山道も終わり、清里駅に向け車道を歩く。街灯はない暗い道だった。
 清里駅に着き、ザックから財布を取り出し、切符を買った瞬間19:02発の電車がやって来た。慌てて飛び乗ったが半開きのザックからかんじきを落としてしまったのに気がつかなかった。それに気が付いたいて拾って来て下さった。お陰様で大事な装備を失わずに済んだ。
 清里から小諸までは2時間くらいかかった。最後に走ったりしたので疲れてしまったからずっと眠っていた。

まとめ
 人気のないルートの登山に苦労したが山を独り占めしている気分が味わえてとても満足した.
 貧乏人の僻み半分だが,自分はお金持ちではないし,身体に1万円札を貼り付けて登るのも自分のスタイルではないと思って,長靴やゴム手袋なんかを利用した低予算冬山登山の模索は続く.去年は真教寺尾根をやって今年は県界尾根をやった.今回は簡単なクライミングが入ってくるようなルートにも長靴で対応できることが分かった.ゴム手袋もある意味完全防水なのでかなり実用的だが,やはり手汗でひどく冷えてしまった時などは危険なので長期の登山だと不利益を被りそうである.

今回使った長靴⇓







今回使った手袋⇓