宇宙に行ってみたい!と考えた場合,具体的にはどうすればいいのでしょうか?
現時点では,主に 3 つの方法があると私は思います.
第一に,宇宙飛行士に募集することです.日本においては,宇宙航空研究開発機構(
JAXA
)
が募集を行い,自然科学系の大学学部卒業以上であれば応募の資格があります(1998 年 2 月時点での募集要項
).スペースシャトルに乗って国際宇宙ステーションに行くことになります.但し,現在 8 名の日本人宇宙飛行士が活動していますが, 1999 年 2 月に古川・星出・山崎(旧姓 角野)の三氏が宇宙飛行士候補者に選抜されて以来,宇宙飛行士の募集は行われていません.
第二に,民間の宇宙旅行会社にフライト代を支払い,乗客として宇宙に行くことです.米国のスペースアドベンチャーズ社
は過去に 3 名の民間人の宇宙飛行を実現させた実績があり, 4 人目として日本人の榎本大輔氏
が予定されています.ロシアのソユーズロケットに乗って国際宇宙ステーションに行くことになります.地球を離れてから機関するまでの期間は約 10 日間で,費用は 20 数億円です.
第三に,自分で宇宙に行くための宇宙機を創り,それに乗っていくことです.日本では,ライブドア社の堀江氏がロシア製の宇宙機を活用した独自の宇宙旅行構想を発表して話題になりましたが,国家宇宙機関によらない民間での宇宙機開発の様々なチャレンジが世界中で行われ,宇宙飛行のコンテストなども行われています.その中でも最も有名なコンテストのひとつが X PRIZE
であり, 2004 年 10 月 4 日に,初の民間組織での有人弾道宇宙飛行が実現しました.現状,高度約 100 キロメートルまで到達できる技術が確立されており,今後,更に遠くまで行くことができるようになれば,自由な宇宙飛行を楽しむことができるでしょう.なお,国際宇宙ステーションの高度は約 400 キロメートルです.
しかし,どのような方法で宇宙に行くにしても,宇宙飛行を含めた宇宙についての予備知識は必要でしょう.国際宇宙ステーションの軌道や宇宙機の誘導制御システムの仕組みなどの難しい理論だけでなく,もっと我々にとって身近でありながら疑問に思っていること,例えば,睡眠のことや,シャワーのこと,自由時間の過ごし方など,知っておくと良いことは数多くあります.
この本は, NASA の宇宙飛行士として 3 度スペースシャトルで宇宙飛行をした経験し, 356 時間の飛行記録を持ち,現在はプロの講演者として活動されている R ・マイク・ミュレインによって執筆されたものです.彼自身が数多くの講演会にて講演した際に受けた様々な質問が 500 項目に整理されています.本文から,質問の例を以下に幾つか抜粋します.
・どうして宇宙飛行士は宇宙遊泳をしているときにシャトルから落ちないの?
・スペースシャトルは月まで飛べるの?
・宇宙で重病になったらどうするの?
・宇宙では背が高くなるの?
・歯に詰め物がしてあっても宇宙飛行士になれるの?
・宇宙飛行士になるのはどんな学歴が必要なの?
・宇宙飛行士も生命保険に加入できるの?
彼はスペースシャトルに搭乗した宇宙飛行士なので,スペースシャトル以外の宇宙機には必ずしも当てはまらない答えも幾つかありますが,宇宙飛行についてのあらゆる質問と答えが幅広く書かれている点で,数ある宇宙本の中でもユニークな1冊だと思います.また,宇宙飛行に興味がないとしても,純粋に宇宙に興味がある方には一読をお勧めする一冊です.
この本を読んだ後に,原著にチャレンジされるのはいかがでしょう?
“Do Your Ears Pop in Space? And 500 Other Surprising Questions About Space Travel”
ISBN: 0471154040
(日本語訳本には日本人宇宙飛行士の若田氏のインタビューが掲載されています)
なお,マイク・ミュレイン氏の本としては,『宇宙からオーロラは見えるの ? - 宇宙飛行士が答える 380 の質問』(ハヤカワ文庫)も出版されています.
R ・マイク・ミュレイン公式ウェブサイト
http://www.mikemullane.com/
R ・マイク・ミュレインに関する NASA 公式ウェブサイトサイト
http://www.jsc.nasa.gov/Bios/htmlbios/mullane-rm.html
題名: 『宇宙飛行士が答えた 500 の質問』
著者名: R ・マイク・ミュレイン( R.Mike Mullane )
訳者名: 金子浩
出版社: 三田出版会(現在は出版文化社にて販売)
ISBN : 4883381536
定価: 1,575 円(税込)
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