2013.6.22 体育科指導法2班担当模擬授業メッセージ | Tatsumi Labo in Kio Univのブログ

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622日(ゲーム/低学年):

各クラスとも、単元構成に工夫がありました。1限目のクラスは、ねらい1にて、多様な鬼ごっこを行い、ねらい2にて、ドッヂボールへの移行を図るという点が評価できました。簡単な鬼ごっこから複雑な鬼ごっこを通じて、ボール運動で求められる走・跳や方向転換他に必要な運動能力のみならず、作戦のような認知的能力を高めようと意図されている点が面白かったです。何度も言いますが、この意図の部分が学習内容であり、様々な鬼ごっこが学習活動(教材)に相当します。この日は、鬼ごっこからドッヂボールに移行しようとする段階であり、「転がしドッヂボール」が提案されました。

2限目のクラスは、自由なボール投げやボールキャッチ→多様なコートでのドッヂボール→一般コートを用いたドッヂボールというように、運動の系統を意識した単元構成でした。この日は、まとめの段階に相当し、一般コートでのドッヂボールを楽しみました。


さて、何れの授業においても、模擬授業後の講評にて課題としたのは、言語フィードバックのあり方でした。
1限目は単元上、学習の初期段階にある授業でした。2限目は、まとめの段階の授業ではありましたが、正しくボールをスローするためのフォームの学習が入っていました。次の単元への繋がりを意識されてのことだと思います。このような学習段階・状況ですから、一定のフィードバックが必要に思われたのです。


ところで、フィードバックは、「よし!」「だめ!」という初心者には情報価の低いものから、運動に関する質的情報が備えられた情報価の高いものまであります。また、提示手段(言語・視覚・筋運動感覚等に働きかける付加情報)やタイミング(即時・遅延)や頻度(随時・要約)、一度に与える量などを検討する必要があります。シュミットという研究者は、学習が進行するにつれ、フィードバックを減らしていくことが重要だと説いています。漸減的フィードバック法と呼んでいます。要は、学習者自らが内在的情報(筋運動感覚や前庭バランス感覚等の内部情報)に基づくフィードバックが可能となるように支援することです。付加的フィードバックの過剰提示がもたらす学習者側の依存性の問題を回避するという点に尽きます。学習者の自律・自立が主題となります。学習者が指導する側のフィードバックに依存しすぎるようになるとどうなるでしょうか。ひとり立ちできないですよね。


福島大の工藤先生は、「丁寧すぎる指導は諸刃の剣」とおっしゃられます。「何もしない事・見まもる事への努力」の重要性。学習者自らが成す情報処理が運動感覚の記憶において重要な役割を果たします。エラーを伴う試行錯誤の経験が重要です。一定のエラーを許容する教師の力量や「失敗は成功のもと」という教場の雰囲気づくりが失敗を恐れず挑戦する子どもを育むのではないでしょうか。


今回、当方がフォードバックの無さを戒めたのは、
1限目においては、ボールを扱う学習の初期段階にあったこと、2限目に関してオーバーハンドスローのフォームに関する新奇な習得課題が入ったことにあります。学習に必要な手がかり刺激の判別がつかぬ段階にある初学者には、運動の正・誤に関する情報(フィードバック)や教示が必要です。運動課題の配列に加え、教示やフィードバックの提示のあり方をよく考え、工夫しましょう。


授業者の勇気があって、この授業が成り立っています。2班さん、おつかれさまでした。