da sowshall -46ページ目
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1日目 出国 瀬戸内海

出発直前までガイドブックのコピー。yahooのモデムを送り返す。Yを送る。自転車を部屋へもってあがる。戸締りにてこずる。9時出発。ぎりぎり。駅までの道のりで、フェリー会社に「遅れるかも」と電話。意外にも「大丈夫ですよ」とのこと。実家にも。地下鉄中央線コスモスクエア駅へ。送迎バスには間に合わず、国際フェリーまで歩く。時間が押していることもあるが、結構距離がある気がする。バックパックの重さにこれからの旅路に一抹の不安。工事現場の警備員の視線を憶えている。思いを仮託すべく仮構した視線だったのかもしれない。たどり着くと、まだ受付時間に余裕がありそうだった。カウンターの女性たちは日本語も中国語も自在だ。大きなチケットの柵を手にして、大きな旅行に出るんだと思う。やがて、船へ誘導される。出国手続きを待つ列で前に立つ異容の男。180㎝以上の上背に、辮髪風にひと束だけ後頭部に残る頭髪。太いフレームのめがね。まばらながら長く伸びた髭。「個性的」なひとをみると軽い反撥心が沸くのは習い性。その他、軽装ながらこの便への乗船に慣れた様に見えるものも多い。カップラーメンをぶら下げているのは、船内にお湯があることを知っているからだろう。じぶんと同世代。出国手続きを終え、乗船。若い女性乗務員たちに迎え入れられる。ここで、最後に乗船してきた男の異容にめが釘付けになる。相当な長期旅行者にも見える。全体に褪せ薄汚れた衣服。沈着した日焼け。伸び放題の髪と髭。痩せこけた身体。いっけん不釣合いだがそのぼろさに納得の大型スーツケース。ただ歩いているだけでもう、いわゆる挙動不審。そして、強烈に臭う。二段ベッドの3対向かい合う船室。異様の男も同室。大澤真幸風のモリモリ頭に青白いにやけ顔の青年。ウクレレ?を持つ青年。小柄なじいさん2人組。緑のペンキが塗り重ねられたデッキ立つと、安藤忠雄設計のフェリー乗り場を見下ろす高さ。さっそくあわてて購入した始めてのデジタル一眼のシャッターを切る。とにかく使うことで習熟するよりない。誰とも接触なし。開けてくるだろうか。11時半出航。旋廻して港から出る。あっという間に、明石大橋をくぐる。進行方向正面に立つと風が気持ちいい。波を掻き分け力強くすすむフェリーがなんとも心強い。19時半、食堂で夕食。スタッフにすすめられて牛肉と玉葱の鉄板焼きにビール。食後、船酔いが始まる。下段のベッドに寝そべりつつペンをとる。「月に向かって進む。曇り空の向こうのおぼろげな月に向かって、あいまいな水平線と巨大な舳先は、暗闇に停泊しているかの錯覚を憶えさせる。強烈な向い風と静かに過ぎ去る海面が想外な船の走力をあかしている。感傷的になるギムはない。まるでない。己へのあきれを新たにするばかり。ついには、ムリヤリ旅行に行かされているかのような感覚に。自分で進めておいて。この無責任、無自覚。船酔い。また明日」ぷふい! センチメンタル!!



コピー代:?円、モデム送料:700円、電車:490円、新鑑真号二等洋室片道:21500円、晩飯:800円



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