一度切りの人生、人はこの世に何を残すのか。そのヒントは意外と身近な所にあるのかも知れない。
南日本新聞7月4日付「みなさんでぃ」に掲載された「残る私のため家電を新調」を読み、胸が熱くなった。
それは、1人残される高齢の母が困らないようにと、母親の不慣れな電化製品を黙々と新調して先だった息子さんへの感謝が込められた話だった。
母を思う息子さんの行為は、同時に母親へ「もう少し頑張ります」という気丈夫さまでプレゼントしたように思う。
日頃、相続や遺産などに関する文書作成仕事にしていると、亡くなった方の人柄がしのばれる機会に触れることも多い。
思い出の品からお金や不動産などにいたるまで、生前のきちんとした整理からはそれだけで、残される家族を思いやる気持ちが伝わってくる。
後日、「几帳面なあの人らしいな」「また会いたいな」と、残された者に感謝と感動を与えてくれる。逝き方もまた、生き方の一つである。