軽度認知障害(MCI)の臨床的な定義は
●記憶障害の訴えが本人または家族から認められる
●客観的に1つ以上の認知機能(記憶や見当識など)の障害が認められる
●日常生活動作が正常
●認知症ではない
という事でした
MCIは
認知症と比べ
特に
時間経過に伴った記憶障害が見られます
年齢を重ねれば
誰でも物忘れは増えていきますが
MCIであると
その年齢に見合わないほど
時間経過に伴った物忘れが見られます
少し前に聞いた事を忘れて
何度も確認を繰り返したり
世間を騒がせた最近のニュースの
内容が曖昧だったり
最近あった特別なイベント(冠婚葬祭など)の
記憶が曖昧だったり
え?と思うような記憶違いが見え始めます
アルツハイマー病による
MCIと認知症の違いは
日常において
独立して生活を送る事ができているかどうか
という点がポイントです
人は
生活の中でいろんな動作が必要です
それらの動作の事を
ADL(Activies of Daily Living)と言います
ADLは
●ADL【基本的ADL】
(食事、入浴、更衣など)
●IADL【手段的ADL】
(買い物や家事、金銭管理など)
に分けられます
認知症になると
ADLもIADLも障がいされ
あらゆる面で
身の回りの事が難しくなっていきます
しかし
MCIでは
先に
IADLが障がいされていき
ADLは比較的保たれている場合が
多くみられます
そのため
周囲の支援が必要でない場合も多く
日常生活に大きな支障がない
という場合も多く見られます
それでもやはり
年相応と言うには無理があるほどの記憶障害がありますので
全く影響がないという事はありません
それでも
そういった特徴があるので
”気付かない”
という事が往々にしてあり
気付かないまま
進行していく事が見受けられます
例えば
たまに一緒に買い物に行った母親が
1100円のお会計で10000円を出しても
財布の中の100円が
どれかわからなくなっている
とは考えませんよね
パッと財布を見て
母さん100円あるしょ!
と言ったところで
あー見つけられなかった(笑)
と言われればそれまでで
別に100円を
出そうが出すまいが
どちらでもいい話です
そうした
あれ?と思う
ちょっとしたポイントが
実は
MCIに気付くポイント
ではあるのですが
生活の中では
当たり前に
見過ごされていきます
そして
気付いた時には
家にたくさんの小銭がたまっている
なんて事があったりします
また
MCIと認知症の違いとして
発症後の経過の違い
があります
アルツハイマー型認知症は
今の医学では
完治する事ができません
脳の萎縮を抑え
進行を遅らせる事はできますが
遅らせるのみで
ゆっくり進行していきます
しかし
MCIに関しては
早期発見による
適切な治療によって
認知症の発症を遅らせる事ができる
と言われています
やはりここでも
完治という事は難しいのですが
認知症の発症を遅らせる事で
生活上の困り感は
十分に軽減する事ができる思います
その治療として
運動や食事
薬物療法など
さまざまな研究が
進められています
もちろん
必ず改善する
というものではありません
しかし
改善が見られた
というケースもあり
期待する可能性に秘めています
次回は
そのための早期発見の重要性などを
まとめたいと思います