「メアリーばあちゃん、戦闘開始ってなあに?」
ヴィクトリアが聞いた。

「なあに、そろそろこの館にもベルテーンの祭りの影響が激しく出始めたってことさ。どこかのへやのドアが開いたんだろう」

悠然とメアリーもアリスも紅茶を飲んでいる。


「少し説明しておこうかね。扉の中は時代も異なる世界だよ。一歩足を踏み入れたら帰れない事もある」
そこでニタリとメアリーが笑った。

帰れなくなったご先祖様は少なくはないね。
だけど安心おし。
そのご先祖様たちは自分からその世界に残ったんだよ。
愛だね。

愛する人があちらに出来てのこったのさ。

だだし、この家に誰もいない時に扉のあちらに行ったら本当に自分の意思とは無関係に帰れなくなるかもしれないよ。

「さて、あの扉がどの時代のどの国か見てこようね」

チビ猫たちは好奇心とちょっぴりの恐怖心でワクワクしている。
恐怖心も仲間と一緒でさえあればただの刺激剤にすぎない。

「さあ、この扉だ。見てごらん」

「うわぁあ!」

こりゃおどろいた、私も見るのは初めてだよ。
猫族が集まったからかねぇ。

そこに見えたのは肉食恐竜達、太古の植物に活火山の爆発音だった。

口を引き結んでひっそりと胃痛を味わっているのはウィンターだ。
『ああ、こんな世界にヴィクトリア様が置いてきぼりになったらどうしよう!?』
ウィンターはいてもたってもいられない。

「メアリーばあちゃん、このまま扉をしめたら恐竜の世界は消えるの?」
ソウがたずねた。

「ああ、閉めれば次の世界へとぶよ」

「恐竜はこっちの世界に出てこないの?」

「恐竜は出てこないだろうね。大きすぎる。でも出てくる奴もいるよ」
メアリーはいたずらっぽく出し惜しみしながら説明する。

「それって怖い奴もいるの?」
「いるさ、極悪人も、幽霊もね」

チビ猫たちは全員がいまここにモモコがいればいいのにと思った。
「アリスの館へようこそ!」
にっこりと微笑んでアリスが両手を広げて出迎えた。

「何がアリスの館よ。ここはメアリーばあちゃんの家じゃないの」
ヴィクトリアが答える。

「そのうえ、クレイジーハウスだわ」
お玉も続ける。

「あの、これからお世話になるんですよ。もう少し謙虚になりましょうよ」
ウィンター一人がオタオタしている。

その時背後から白髪の上品な老婦人が現れた。
「アリス、居間にお茶の仕度ができているからみなさんに寛いでいただきましょう」

やさしそうな笑顔で老婦人がチビ猫たちを見つめた。

「ばあちゃん、僕ソウっていうの。しばらく泊めてね」
「ぼくはマルコです。どうぞよろしく」

男の子たちは一目で老婦人が気に入った。
もちろんヴィクトリアもお玉もメアリーばあちゃんが大好きだ。

お茶は豪華だった。
きゅうりの薄いサンドイッチにフルーツたっぷりのダンディケーキ。

濃い目の紅茶は旅の疲れも吹き飛ぶようだ。

「あんたたち、4月の末に来たのは大正解よ」
アリスが思わせぶりに言いながらきゅうりのサンドイッチをぱくついた。

「なにかあるわけ?」
ヴとィクトリアお玉がこれまたきゅうりのサンドイッチを口に咥えて聞いた。

5月1日にはベルテーンの祭りがある。
その祭りはケルト民族の到来より古くからのものだ。

女神の石が子供を生む。
その後女神の石は1年間祭司が保管するのだ。

アリスの家はクレイヴァ・ケインに囲まれているだけにベルテーンの祭りでは影響を受ける。

「猫族はセカンド・サイトを生まれつき持ってるからね」
口をモグモグさせながらマルコ。
手はもう次のサンドイッチに伸びている。

セカンド・サイトとは霊感的な資質による目のことだ。
猫族は幽霊がよく見える。
もちろん、猫族でもその力には強弱がある。

ソウなどはあまり見えない。
それでも人間よりは感じる事ができる。

だまって話を聞きながらウィンターは胃が痛くなる草太郎の気持ちがよくわかった。

メアリーばあちゃんはほほえみながらお茶を飲んでる。
品のよい穏かな老婦人だ。、

そのメアリーばあちゃんがニコニコしながらチビ猫たちにつげた。

「みなさん、ありがとうね。これだけたくさん猫族がいれば誰か一人くらいは女神の石も気に入ってくれるわ」

「ど、どういうこと?ばあちゃん・・・」
ソウが聞き返す。

「あら、女神に石の生贄になりにここまで来てくれたのでしょう?」
メアリーばあちゃんは微笑を浮かべたまま怖い事を言う。

えっ!!
ウィンターまでが椅子を引き倒さんばかりに驚いている。

「そうなのよ、女神の石は子猫が大好きなの」
アリスも意地悪く付け足した。

「それも男の子がすきなのよね。あいにくこの家にはアタシしかいないわけよ」
まだアリスはきゅうりのサンドイッチを食べながら紅茶を飲んでいる。

ヴィクトリアとお玉は顔を見合わせて食べるのをやめた。

「食われちゃうかもね~~~」
メアリーばあちゃんとアリスが声を揃えて言った。

それから2人ともソウとマルコをみて大爆笑だ。

「ああ、おかしい!私らはそれほど非情じゃないよ。女神は子猫が大好きだけどね」

いきなり上品な老婦人は消えた。
キラキラと生命力にあふれたいたづらっぽいばあさんが現れたのだ。

「ああ、上品なばあさんを装うのもらくじゃないね。でも楽しかったよ。さあ、これで本性で楽しめる」

そういえば長いことあってなかったけどメアリーばあちゃんはとんでもないばあさんだったとウィンターは思い出した。

ヤレヤレ、僕はこれからどうなるのだろう?

大人だって泣きたいよ。
ウィンターはまたズンと胃が重くなった。



ウィンターの心配をよそにチビ猫たちは大騒ぎだ。
食われるんじゃないかと恐怖に顔を引きつらせた事など一瞬にして忘れたらしい。

ひっそりと小桃がくちをはさんだ。
「あの、私は小桃といいます。ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。昔の衣装を見せていただけ嬉しいです」

小桃はいつまでたっても紹介してくれないお玉たちを横目で睨みつけながら挨拶した。

「なんてキチンとご挨拶のできるお子だろう!もちろんご自由に衣装を見てちょうだいな」
メアリーばあちゃんはひどく感心している。

小桃は猫かぶりがうまいのよ。
もっとも世阿弥じーちゃんの躾がいいんだろうけどね。
でも私たちは王族だからお行儀なんて人がおおめにみてくれるのよ。
下々は頑張らないとね。

お玉とヴィクトリアは意地悪く考えていた。

マルコも王子様でお玉の婚約者だが男の子たちはなんにも感じない。

その時、ウィンターの携帯が鳴った。
国際電話に切り替えてある。

「もしも~し、ウィンター?お蘭よ。着いたの?」
「お蘭さん、まさかもう来る気じゃないでしょうね?」

「まだよ、そっちと8時間くらい時間がずれてるから日が落ちなきゃ。でもあとで行くからね」

チビ猫たちの耳がプクピクしている。

「わ~い、お蘭が来るんだぁ!」
「でもどうやって?」
「この間みたいにアラブの王様の自家用ジェットかしら?」

電話を切ってウィンターがチビ猫達を見た。

「お蘭さんもさくらさんも草太郎さんも時々来ます。君達を監視に来るんです」
「なんだぁ、ちっとも大丈夫!こわくないや」

ソウがなめきったように紅茶を一口飲んだ。

「モモコさんも来るんですよ」

ギャッとどこからともなく悲鳴が上がった。

思念戦士のモモコはおそろしいのだ。
たぶん、猫族最強の思念派の使い手だ。

チビ猫たちが言うことをきかなければ問答無用で頭をしめつけられる。

「一日のうち2時間くらいですが日本の仲間を呼んでもよろしいですか?先に伺うべきだったのですが、内緒にしておきたかったので」
ウィンターが聞いた。

「もちろん、大歓迎ですよ。たくさんきてほしいからね。ベルテーンの祭りはにぎやかになるよ」
メアリーばあちゃんは大喜びだ。

ウィンターもモモコの名前でチビ猫たちが大人しくなって嬉しかった。

このチビたちを震え上がらせるモモコも恋人の守谷にはすごく可愛らしい態度である。
女って不思議だなとウィンターは思う。

小さい時からヴィクトリアのお守り役のウィンターにはヴィクトリアの事さえ時々わからないのだ。
いつでも言いなりになって仕えている。

ドンドンと大きなノックの音がした。

「誰か来た見たい」
アリスが玄関に走っていく。

「きっとシャナよ」
お玉とヴィクトリアと小桃も一緒に玄関に向かった。

「こんにちわ~~」
でっかい声で叫んでいるのはやはりシャナだった。

キルトの研究でエディンバラに留学中のシャナは大荷物を抱えてやってきた。

「はじめまして!」

アリスにあいさつもそこそこにお玉とシャナと小桃とヴィクトリアは抱き合って久しぶりの再会に大興奮だ。

やっとみなの揃っている居間に行ってまたマルコやソウと賑やかに再会を喜び合った。

大荷物の中からシャナはメアリーばあちゃんとアリスにタータンチェックの肩掛けを取りだした。

「まだあんまり複雑なのは織れないの。でもこれ私の手織りです」

「あらまあ、タータンは大好きなのよ。オリジナル?嬉しいねぇ」
メアリーばあちゃんは嬉しそうに肩掛けに頬をあてた。

アリスはあまり興味もなさそうだったけれどその分、メアリーばあちゃんが喜んでいた。

バタタ~ン!!
家中に響くような大音響で館の中のどこかのドアが開いた。

猫族たちは全員、いやメアリーばあちゃんとアリスをのぞいて全員が飛び上がった。

「さあ、戦闘開始の合図だよ」
メアリーばあちゃんが思わせぶりに微笑んだ。
仲間を呼んでもよろしいですか?先に伺うべきだったのですが、内緒にしておきたかったので」
ウィンターが聞いた。

「もちろん、大歓迎ですよ。たくさんきてほしいからね。ベルテーンの祭りはにぎやかになるよ」
メアリーばあちゃんは大喜びだ。

ウィンターもモモコの名前でチビ猫たちが大人しくなって嬉しかった。

このチビたちを震え上がらせるモモコも恋人の守谷にはすごく可愛らしい態度である。
女って不思議だなとウィンターは思う。

小さい時からヴィクトリアのお守り役のウィンターにはヴィクトリアの事さえ時々わからないのだ。
いつでも言いなりになって仕えている。

ドンドンと大きなノックの音がした。

「誰か来た見たい」
アリスが玄関に走っていく。

「きっとシャナよ」
お玉とヴィクトリアと小桃も一緒に玄関に向かった。

「こんにちわ~~」
でっかい声で叫んでいるのはやはりシャナだった。

キルトの研究でエディンバラに留学中のシャナは大荷物を抱えてやってきた。

「はじめまして!」

アリスにあいさつもそこそこにお玉とシャナと小桃とヴィクトリアは抱き合って久しぶりの再会に大興奮だ。

やっとみなの揃っている居間に行ってまたマルコやソウと賑やかに再会を喜び合った。

大荷物の中からシャナはメアリーばあちゃんとアリスにタータンチェックの肩掛けを取りだした。

「まだあんまり複雑なのは織れないの。でもこれ私の手織りです」

「あらまあ、タータンは大好きなのよ。オリジナル?嬉しいねぇ」
メアリーばあちゃんは嬉しそうに肩掛けに頬をあてた。

アリスはあまり興味もなさそうだったけれどその分、メアリーばあちゃんが喜んでいた。

バタタ~ン!!
家中に響くような大音響で館の中のどこかのドアが開いた。

猫族たちは全員、いやメアリーばあちゃんとアリスをのぞいて全員が飛び上がった。

「さあ、戦闘開始の合図だよ」
メアリーばあちゃんが思わせぶりに微笑んだ。







一方、新宿吸血鬼ビルに帰ってきたチビの猫族たちは大騒ぎだ。

「おまえら、楽しそうだな」
管理人の100号室のじーさんが口を挟んだ。

100号室のじーさんは吸血鬼の小雪に先立たれた人間だ。
小雪のお迎えが来るまでこの吸血鬼ビルで管理人をすること決めた、正真正銘の人間の爺さんだ。

「僕たち、アリスのところへ行くんだよ」
ソウが答える。

「アリスのお家はクレヴァ・ケインに四隅が囲われてるんですって」
これはお玉。

「なんだ、そのケインとかいうのは?」
100号室のじーさんがたずねる。

「えっとね、ほら、日本のお庭にもあるでしょ?お稲荷さんのお社よ。あれが屋敷の四隅にあるの」
ヴィクトリアが説明した。

100号室のじーさんの顔がちょっと引きつった。
「妙なとこへ行くんだな。おれはここで酒を飲んでいられて幸せだぜ。いきたかねぇやな」

100号室のじーさんはとっと自分の部屋へ引き上げた。

集いの間にチビ猫たちは集合してアリスの家に行くメンバーを改めて決める事にした。

確実に行かれるのはヴィクトリアとお玉とソウだ。

小桃も行きたかった。古い屋敷の屋根裏部屋には古い衣装があるものだ。
勉強にもなる。
小桃は舞台衣装デザイナー希望だ。

テンはライブがあるからダメだと諦めた。
シャンソン歌手希望の10代だ。
まだ人生は歌いこめないけど私には若さがあるもんと頑張っている。

お玉の許婚マルコは王子様だ。
でも年上の人に弱い。
お玉以外の美少女なら若くても好きかもしれない。
ここがお玉の逆鱗にふれるマルコの欠点だ。
だけど天使のようなぷっくら美少年である。
マルコは行きたかった。
この頃お玉のことが気になってしかたがないのだ。

アリスの館ならスコットランドのエディンバラにいるシャナにも会える。

「私とお玉と小桃にマルコにソウの5人かしらね?」
たいした人数にはならなかったわね。
みんなそれぞれ忙しいんだわ。
お玉たちは笑っているがウィンターには5人どころではない。

アリスの館に着いたら猫族が7人になるのだ。

5人は楽しそうに荷物をまとめはじめた。
切符の手配はウィンターに押し付ければいいしお金は草太郎がだせばいいと気楽なものだ。

猫族のなかでお金の苦労を知っているのはシャナくらいのものだろう。

クルミと桃太郎は社交ダンスのコンクールがあってさくらのお茶会にも出られなかった。
きっと帰ってきたら行きたかったとクルミが大騒ぎするだろう。
それをなだめる桃太郎は一苦労だ。

とにかくアリスの館へ行くメンバーは決定した。

いざ、スコットランドのアリスの館へと舞台は移っていくのだった。



泣きそうな顔のウィンターにさくらが声を掛けた。

「クレイヴァ・ケインがあるなら私が貸してやれるかもしれない」

ウィンターの顔が輝いた。
ついでにお蘭の顔も好奇心で輝いている。

憂鬱そうなのは吸血鬼の長である草太郎だけだ。

「ウィンターはチビ猫たちとアリスの家へ行くしかないね。でも一日に数時間は私もアリスの家を覗けると思う」

「あら!じゃあ、私もアリスの家を覗けるかしら?」
お蘭が嬉しそうに聞いた。

「さくらっ!いっそ何にも見えないほうがまだましですっ」
草太郎が悲鳴に近い声で言う。

「ジュリアンにも行ってもらおうかしら?そうすればアリスの家で逢えるわ」

「アリスの家にジュリアンが泊まるのはだめです」
不安そうにウィンターが口を挟む。

地下室で寝ているはずがいきなり砂漠のど真ん中の太陽の下ってこともあるんです。
ジュリアンに口説かれキスを迫られた恐怖も忘れてお人よしのウィンターはジュリアンの心配をする。

「ふふん、妙な家なんだね。空間の交差が家の中で起こるんだ。面白そうだ」
さくらは楽しそうに笑った。

「いい歳して、なに考えてるんですかっ?」
草太郎の言葉にお蘭とさくらが同時に怒鳴った。


「今、なんて言った!?」

「な、なんでもありません」
草太郎がレディへの失言だったと首をすくめて謝った。
どちらにしろもうサイは投げられたようだ。
草太郎は深いため息を付いてあきらめた。

こうなったら現実を見つめて対処するしかない。

チビ猫は何匹、行く気なんだろう?
お土産は何を持たせよう。
僕もご挨拶に伺わないといけないかしら?

神也や守谷、モモコにも協力してもらおう。

ウィンターだけじゃあ心もとない。
第一、ウィンターが哀れだった。



満月の光さえ届かない歓楽街のネオンの中。

猫族と吸血鬼が夜のお茶会をしていた。

「あ~、そのケーキは私が食べようと思ってたのに!」
「やだよ、モンブランは僕のだぁ~」

大騒ぎしながら争奪戦を繰り広げている。

英国からヴィクトリアとジュリアンも来ている。

「そういえば、お玉。アリスがばあちゃんもそろそろお迎えが来そうだから遊びにおいでよって言ってた」
ヴィクトリアがエクレアをほおばりながらお玉に伝える。

「やだ、アリスは変人だし、アリスは何するかわかんないんだもん」

「いろんな事が起きるのはアリスのせいではありませんよ」
ウィンターが静かに補足する。

「あの家は4隅にクレイヴァ・ケインがあるんです」

「なに、そのクレイヴァ・ケインって?」

そりゃあ、珍しいねと興味を示したのは魔女のさくらだ。

「お玉、クレイヴァ・ケインって言うのはまだドルイド教さえ始まる前の小さなストーン・ヘンジだよ」

あの大きな石の柱のこと?
ドルイド教ってなに?
それっって珍しいの?
どんな事が起こるの?

いっせいに猫族のチビたちが口を開いた。

「行きた~い!!」
全員が声を揃えて叫んだ。
ウィンターと草太郎だけは青くなった。

「ヴィクトリア、大勢で行っても大丈夫かしら?」
お玉が聞いた。

「大丈夫じゃない。あの屋敷は大きいもの。100人以上だって平気よ!」
無責任にヴィクトリアが答えた。

「まず、連絡を取って了解してもらいましょう」
ウィンターが真面目に舵取りをする。
でも誰も聞いていない。

「いいのよ、行ってしまえばこっちのもの。アリスは変人だけど優しいもん。放り出したりしないわ」
「いえ、そうではなくて相手のご迷惑も・・・」

哀れなウィンターの言葉など誰も聞いていない。


さくらとお蘭がウィンターの肩に手を乗せて慰めた。

「あんたも大変だねぇ。どんな騒ぎになるか目に見えるようだ」
「ほんとよねぇ、私は吸血鬼だから一緒にいってあげられないしねぇ」
2人ともどこまでウィンターに同情しているのか微妙な表情だ。

チビ猫たちはもう出発の準備で頭がいっぱいだ。

「さくら~、ごちそうさま。お土産かって来るね」
「お蘭、草太郎、先に帰るね」

さくらのペントハウスに残ったのはウィンターと吸血鬼だけだ。

「やれやれ、喰い散らかしおって」
さくらがため息をついた。
「申し訳ありません。片付けは僕がします」
草太郎が頭を下げた。

「それよりもあの猫どもをここにいるウィンターひとりで大丈夫かね?」

さすがのお蘭も唸った。
まずウィンターの言うことなど誰も聞くまい。

アリスの家はクレイヴァ・ケインに囲まれてる。
なにが起こるかわからない。

危ない家だ。
危ないチビ猫だ。

ウィンターに監督が務まるわけがない。