故人は池田庄治、76歳。出身は茨城県つくば市。30代半ば近くまで、下館の高校教師であった。その後新潟大学に務めを移した。経済学の教授に就任し、退官後は、私立大学の教授となった。

退職後は、趣味で下館の高校教師時代の私小説を書いており、この秋から冬までに出版される予定であった。さらにもう一冊書きたいと、出身地であるつくば市の郷土芸能である「がまの油の口上」について書くことにし、ひとりで出かけることにしたと私は聞いていた・・・・。


11/13につくばに宿泊、14日失踪

月曜日、夜10:00頃の家に突然の電話がきた。この電話が私達の悪夢の始まりであった。

故人が、泊まっているホテルに戻ってこないとのこと・・・・。


11/13より、二泊三日で筑波山の中腹にあるホテルに宿泊を予定していた。実際11/13は土浦などを回って、写真をとったりした模様。一日目の11/13は予定通りホテルに泊まった。

翌14日、「がま公園」の館長さんをその公園で取材。14:00-14:30頃まで話す。その後、ケーブルカーの優待券をいただき、ケーブルカーを上がった所の「がま石」を見に行くといってその公園を後にした。

(ここまでは、目撃の証言がある)

その後、旅館の大おかみから夜になっても戻ってこないと電話あり、11/15私達は急遽つくば市に向かった。

 

11/15からの捜索、12/3の発見 

 警察犬と警察官10人にて捜索して頂いても見つからず、11/16に警察、消防もふくめ50人近くで捜索して頂いたが、やはり見つからなかった。そして、ボランティア、ドッグレスキュー、などの方々も出動してくださったが、見つからなかった。皆さん、本当に必死で捜索してくださった。(とても、感謝しております。)

私達は、山中で必死に故人の名前を大声で叫んだが、返事は返ってこなかった。約3週間近く、捜索したが見つからなかった。

結局、12/3沢登りをしていた方が発見してくださった。

 

 しかし、見つかった場所は故人が一人で行ったとは全く考えにくい場所であった。

ロープウェイの起点であるつつじヶ丘のレストハウスから、筑波山神社に抜ける整備された遊歩道がある。つつじヶ丘のレストハウスから遊歩道で約700メートル神社方向へいったところから、山の斜面側へ登った沢の中。人通りからはずれている。

故人の取材の目的になるようなものもない。しかも、沢は、チョロチョロ流れる程度の水量しかない。溺死の可能性はない。その沢に数個の岩が重なり、小さなトンネル状になっている場所に遺体があった。

そこに両手をあげ、仰向けで膝までトンネルに入っている状態で見つかった。故人の後ろ頭を水が流れている。


■遺体には不審な点が多い

服装がおかしい。下はパンツはいておらず、ももひき、ズボンのみはいていた。上は、いつも着ている下着のシャツも着ておらず、厚手のワイシャツのみ。ブレザー、ウィンドブレーカーも着ていなかった。(その時期、つくばは寒く、シャツのみで外に出るのは考えにくい)

眼鏡、ズボン、帽子、靴下がない。革靴を左右逆に履いていた。カメラ、カバン(財布、テープレコーダー、手帳、カギなど入っている)もない。すべてなかった。


またおかしいことに、故人は山登りをする人間ではなかった。何度か私達とかの地を訪れた際は、ケーブルカー・ロープウェイを利用した。

発見されたその場所は、人通りのある遊歩道から外れた山の斜面にある。また、その場所に直接頂上から降りてくることは出来ない。


登山道を登ったり降りたりする人ではない。きのこにも植物にも関心がない。そして、関係のない道に暗くなる時間に人目につかない場所などに行くことは考えにくい。

また、この日の夕方(時間は決めていなかった)、がまに詳しい方に宿泊先のホテルで取材する予定があり、急いでホテルに向かっていたはずである。


故人は、計画的で慎重な性格。認知症などなく、頭はしっかりしている。


なんで、この状態で見つかったのか???


私は、12/3故人と対面した。変わり果て、苦しがっている顔の故人をみて涙が止まらなかった。

訳があり、ここ一年ほど会っていなかった。今度こそ、会えると思っているさなかであった。

まさかこんな形で再会するとは・・・・。以前から、死を恐れ、一人では死にたくないといっていた。ひとりぼっちで私達が全く気づかない場所で逝ってしまった・・・。 


■司法解剖へ

警察もさすがにおかしいとのことで、12/5司法解剖を行った。12/7に結果を話された。病死であるとのことだった。死因は左冠状動脈起始部から前下行枝までの75%以上の狭窄があった。つまり狭心症か、不整脈による死亡とのこと。また尿中にTCAが微量検出。(抗うつ剤や睡眠薬を飲んでいるときにでる)

 

早速私は、故人が通っていた新潟大学病院に問い合わせた。内科ドクターは今まで胸部痛など循環器的症状はなかったと教えてくださった。そして、太ったお年寄りが解剖された場合、75%狭窄はザラにあると教えてくださった。抗うつ剤や睡眠薬は一切処方されていなかった。故人の手帳には、通院中の病院がすべて記されてあったが、精神科にはかかっておらず、抗うつ剤や睡眠薬の記載は一切なかった。

また、他の大学病院の循環器ドクターに伺ったところ、循環器系の薬がしっかり処方されているので、これを飲んでおけば単純に病死はしないであろうとのこと。

 

■事件性を認めないつくば北署

 つくば北警察署では、状況は変であることは認めるが、病死であろうとのこと。

不可解な点が多い。最終的な死因が病死の可能性はあるが、どうしてそんな場所にいて、なぜ遺留品はないのか。


同じ時期、茨城県内で大変な事件が起こった。少女が殺された。警察は、その事件で忙しいからなのか、病死にしようとする。その子と比べると、確かに故人は高齢であるが、私達にとっては大切な存在だった。私達は、おかしいと思う根拠を刑事さんに言い、どうにか真実を報道し、目撃情報を集めてほしい旨を強く訴えた。


■新聞の報道は■

さんざん訴えた末の報道は、財布がなくなったことも、書いていない病死とした内容であった。

私達は、がっかりした。故人が亡くなったこと以上に市民が守られていないということが分かり、ショックであった。筑波山はつくばエクスプレスが開通し、行楽客が沢山訪れる。みんな比較的軽装である。危ない人物がいる可能性が高いのに、何故公表しないのか?

第二、第三の事件が起こるかもしれない。警察は「山を登る人に悪い人はいない。」と言っていたが、奥多摩で、H17年六月ごろ、人にけがをさせて逃げた犯人が結局逮捕されたようである。 


私は、もっと情報を得ようと、様々な友人に連絡した。幸いにして、私の友人達は、色んな分野で活躍している。まず、マスコミの方に伺った。故人の記事を書いてくださった記者の方とお話ができた。記者の方は、やはり不審に思い、「事件性はないのですか?」と伺ったところ、警察側は、「ありません」とはっきり答えられたようだ。

そして、私の仕事上の関係から、解剖してくださった法医学教室の先生とお話することが出来た。外傷はなく、最終的には循環器疾患からの死亡を考えるが、自分達からは、事件性があるともないとも肯定はできないとのこと。要は、死後、日数が経過しているし、死体の状態を把握することしかできないということのようである。こうなると、あとは、全体の状況とを重ねあわせて、警察が判断することになるのだろう。警察にこのことを伝え、「事件性無し」、と言い切った根拠についてたずねた所、「解剖で、そうでたから。」と答えた。解剖の先生はそうは言っていないのに・・・・。


遺留品はどこにあるというのだ。私達は、数百人体制で犯人を探してほしい、と言っているのでない。真実を公表し、目撃情報を呼びかけて欲しいのである。だれが、心臓病で死んだ、と報道された人の目撃をいちいち警察に報告するのだ。実際故人を捜索している最中、自分も筑波山で不審な人物に追いかけられたと言う人がいたらしい。私がその方に会ったわけでなく、その方の情報もそれ以上伺えていない。11/14からの捜索に関しては警察の方々に、ものすごくお世話になり、大変よくしてくださった。感謝のいいようがない。それなのに、今、このように私が、訴えかけなければならなくなったのは、本当に残念で仕方がない。



みなさんへのお願い

池田庄治の目撃情報・事件に関する情報を求めています。

●平成17年11月14日の15時前後ロープウェイ付近にいたとおもわれる

●外見は、頭髪がうすい。帽子をかぶっていた(色は違うが、写真のような形)

●身長は170センチぐらい。太めでがっちりしている。ひとなつこくよくしゃべる。


◎また、その方のでない、眼鏡、グレーのジャケット、白いウィンドブレーカー、靴下、カバン、カメラ、などを処理しているのを見かけた方ご連絡ください。また故人は20-30万は持ち歩いていた可能性があります。周りに犯行を行ったことなど、ほのめかせていた人がおりましたら、ご一報下さい。もし犯人逮捕に直接いたった情報を下さったかたには、その情報の程度により最高200万円までのお礼を考えております。よろしくお願いいたします。



わたくしの予想では、あの遊歩道をひとりで歩くタイプの人でないので誰か知り合った人とと、一緒に歩いていたのではないかと思っています。(これは単なる予想ですが・・・・・。)


 

故人・池田庄治は、故郷であるつくばを愛し、がまの油売りの歴史と考証の本を執筆予定でした。それなのに、このような事態になり、まことに残念です。