お父さんとお母さんはとても不思議な縁(えにし)でつながった。
実は、お父さんとお母さん、ずっと昔、それぞれ別の人と結婚していて、そして離婚してた。
時代は20世紀がもうすぐ終わるっていう頃。
そのあと、お父さんとお母さんはそれぞれインターネットのホームページを作った。
お仕事でも同じようなことをやっていたんだけど、そのページはとても個人的なページで、その日の出来事や思ったことを中心に書き連ねていたんだ。
そしてある日、お母さんになる人からメールが届いた。
お母さんは当時札幌に住んでいて、お父さんは横浜に住んでいたから、すぐに会えるような距離でもないし、第一、そのときはお互い恋人さんがいたから、「ネットで知り合ったただの知り合い」っていう感じだった。
そういう関係が数年続いてた。
2003年の8月末、お父さんは恋人と別れて一人になり、お母さんはなかなか結婚にふんぎりをつけない恋人さんへの気持ちが冷めてきてしまった。
僕たちはあるオンラインゲームの中で、お話をすることにした。
一晩中、お話をした。そのあとは毎晩ゲームの中でお話(文字だけのチャットだけど)をして、お父さんは11月末に札幌に会いにいった。
そのあとも、いろいろ話し合いをしてお母さんは2004年3月19日、この部屋にやってきたんだ。
たくさんのケンカや話し合いをしながら。たくさん泣いて笑いながら。
お父さんもお母さんも回り道をしてしまったので、2004年11月22日に結婚したときは、40歳近かった。
1年の結婚生活でも子供ができなかったので、お医者さんに見てもらったんだけど二人とも問題なし。不妊治療を始めて、たくさんの時間とお金を使った。
お前が生まれる1年半前、お前のお兄さんかお姉さんになる人ができた。
だけど、そのコは力が弱くて8週間で心臓が止まってしまった。
そのあともがんばってみたけど、お母さんの体も疲れ果ててしまったし、お金もたくさん使ってしまって、もう子供を作るための治療はやめようということになった。
そう決めるまでの時間。
すごくすごく考えて考えて。
お父さんとお母さんは二人で生きていこうって決めたんだ。
そうしたら。
2007年12月のある日にお前がやってきた。
お父さんがお父さんになったのを知ったのは2008年1月5日の朝。
お正月休みももうすぐ終わりだなあって目を覚ましたとき、お布団の中でお母さんに言われたんだ。
「赤ちゃんが、できたかもしれない」って。
お前の物語はここから始まるんだよ。