ぼくが一月半ほど働かせてもらった店は、[ホットスパー 悟空店]。
支店名に地域の名をつけない一風変わったオーナーは、店の隣の部屋で宅配用の寿司を握っていた。
もうひとつしっかり覚えていることがある。
オーナー夫妻の小さな子供、名前は空海。
空と海と書いて、そらみと読む。
素敵な名前だったから、ずっと覚えている。
当時、空海ちゃんは小学生に入ったばかりの元気いっぱいのおてんばな女の子。
ぼくは、たまに近所の公園で遊んだり、からかったりしてた。
2013年、宮古回帰。
オーナー夫妻には再会できるだろうか。
そらみちゃんの成長した姿を見てみたい。
ホットスパーはぜんぶココストアに買収されていて、ファミリーマートも含め、コンビニは島内に何十店とあるように思う。
コンビニを探すよりも早く、無料情報誌に[海鮮悟空 http://www.385-59.com/gku_top.htm]とあった。
宮古でも大人気のパイナガマビーチすぐそばの一等地のキャパ100を超える大きな居酒屋だ。
[悟空]という店名、そして海鮮居酒屋。
寿司を握っていたオーナーの姿を思い出す。
まちがいないだろう。
宮古滞在も後半を過ぎた6月4日の晩、ドキドキしながら[海鮮悟空]へ食事に行った。
一人で来店したぼくは、だれに指示されることもなくカウンターの右端に座った。
左端には、いい気分で酔っ払ってるおじさんがいたがすぐに帰った。
後片付けに来たスタッフの女の子が気さくな感じでぼくに訊ねてきた。
「宮古島には、旅行で来られたのですか?」
その日のぼくのいでたちは、アロハシャツにタイパンツ。
ま、言わば内地から遊びに来た観光客風だ。
人違いかもしれない。
でも、彼女の年相応を考えたら、もしかしたら、という思いがあったし、直感的にこう答えた。
「・・・う~ん、旅行ともちょっと違うかな。
3ヵ月くらいの滞在だよ。
15年前にも宮古島に3ヵ月くらい来ててさ。
・・・で、あの、もしかしたら・・・、もしかしたらと思うんだけど、違ってたらごめんね。
・・・そらみちゃん?」
「・・・そうですよ!
あたしの名前は、そらみです!!
なんで知ってるんですか???」
お互いすごーーーくビックリした。
まさかこんな再会をするなんて夢にも思っていなかったし、彼女が宮古に居ることすらあやふやだった。
話を聞けば、高校卒業後は福岡の大学に行ったそうだ。
そのあと、向こうでは就職をせず、昨年、宮古に帰って来て、今は両親の店を手伝っているという。
遅くも早くも、ちょっとしたタイミングがずれれば、こうした再会はありえない。
「あたし、めっちゃ生意気だったでしょ~。」
「うん(笑)
元気いっぱいな女の子だったよ。
しかし大きくなったな~。
もしかしてと思って声をかけてみたけど、正直、わからなかったよ。」
しばらく雑談が続いた。
そらみちゃんは、ぼくのことをまったく覚えていなかった。
そりゃそうだろう、当時7歳だ。
長い年月を超えて、ふたたび宮古にやって来た。
昔、会った人たちは、今も変わらず元気に暮らしている。
そんな中、一番変わったふうに見えたのは、そらみちゃんだった。
小一時間たったころ、奥さんが店に戻ってきた。
オーナーとは会えなかったが、昼のランチタイムに行けば会えるという。
今日で、残り6泊7日。
明日は、ミヤコロックフェスティバル。
明々後日は、自分の企画したライブがある。
ラストは、来間島で過ごそうと思っている。
来週の木曜、宮古を離れる頃には思い残すことはなにひとつないだろう。
とても充実した日々を過ごしている。
故郷、掛川に帰ってからもそうでありたい。

つづく。
