師匠から
舞踊を習っている。




今日は、
その試験のような日。




師匠は黒紋付の袴で
少し斜め前に
着座している。



私は振りを所々忘れてしまい、
自己流で途中
やり過ごす。




でも、
種をまくような振り付けになった時、
蒔いた先に光が舞った。



わたしは至福に包まれ
舞を忘れて
喜びのままに
あちこちに蒔いた。




すると
師匠が駆け寄ってきて
「見たのか?!」


わたしがうなづくと
師匠の瞳から涙がボロボロっと溢れた。



その涙を見た瞬間は、
わたしに電気が走った。




わたしよりも高齢の
白髪混じりの男性の師匠。


いつもはとても厳しいだけの
畏れ多い人だった。




けれど…



他の人には見えない、
同じものを見た。





それは




やっと
師匠が私に伝えたかったこと


見せたかったもの


味あわせたかったことを





理屈抜きに
わかった瞬間だった。