小児の渡航移植の選択 | そうちゃん日記 

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聡太郎は生後10ヶ月で拡張型心筋症と突然診断されました。
海外での心臓移植手術を目指した日々。しかし、移植手術を受ける事は出来ませんでした。
経験しなければ伝えられないことがあることを感じ、聡太郎の残した何かを伝えられたらと思います。


小児の渡航移植。


思うのですが…同じ拡張型心筋症でも、在宅へ移行できて日常生活を送られるのなら、呼吸器を装着しなくても、点滴でなければ投与できないような薬からも離脱できたら、残された時間を楽しい想い出にする日々が与えられたら・・・。

そして、移植のことを何も知らず、移植手術を受けられて元気いっぱいに笑い、走ったり、食べたいものを食べられていたりする姿を知らなければ・・・。

残された時間を大切にしようという(渡航移植を選択しない)選択も説得力を持って与えられるように思います。


でも・・・

ベッドの上で様々な機器や管に繋がれて、管理されていなければ生きられない状況だけが残り、そこに心臓移植しか助かる方法がないと知った時(それだけ厳しい現実を子どもの姿から感じる日々と医師からの告知で突きつけられた時)、そこには移植に掛けるか掛けないかの選択しか残されないように感じます。


何故なら、残された生きられる時間の生活の質を向上できるような環境下に、その子どもははいないから…。
この自由のない環境を子どもに与えたまま死を覚悟するか、万が一でも助かり生活を取り戻せる方法に希望を託すか・・・。

これが、残された時間を家で家族で過ごし、行きたい場所に連れて行き、食べたい物を食べさせてあげられるのなら、それは大きな一つのチャンスであり、やはり大切な選択肢だと思います。


でも、「出来ない現実。」


今以上の回復の見込みがないという現実。
それは、身体的・肉体的な側面だけでなく、与えられた医療環境・生活環境に対してのレベルアップが期待できないと言う現実に対して。例えば、点滴が減らせるとか、食事が口から食べられるようになるとか、ICUから一般病棟に移れるとか、人工呼吸器から離脱できるとか、そういった変化すら困難な現実。


そういった厳しい環境におかれている子ども達は、拡張型心筋症だけでないことも確かです。
そして、同じ拡張型心筋症でも、同じ機会が与えられるとは限られません。

でも、そこに唯一助かるという希望が与えられたら・・・。


どのような決断をしても、どのような選択をしても、その後の結果とその後に生じる悩みや様々な感情など、全てを背負っていくことが、責任の一つとしてあるのだと思います。

どのような結果になっても、生きていく人が自分達の決断を後悔しなければ、その決断と選択は正しかったのだと思います。


後悔しない決断のために、もっと、日本の小児の在宅医療も進歩するといいな・・・と、思います。

日本で移植を待機できる環境が整いますように。

それは、ドナーさんが出ればいいというのではなく、小児の救命救急や周産期医療の現場や重症児の在宅医療など、与えられる全ての医療環境が充実していくことから整ってくれることを願っています。


脳死に陥る子どもを出さない救命救急医療と、移植をすれば助かる子どもを救う医療。

相反しているようであっても、共に大切な医療だと思います。

どちらに対しても、医療が適切に尽くされますように。




きなちゃんを救う会
http://kina.kids.coocan.jp/



ゆうとくんを救う会
http://www.yuto-save.jp/index.html