Chihiro Sato-Schuhさんより
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2人の画像のようです

 

 

 

【公正な世界が広がっていく】

 

 

ロシアを起こしてしまったら、もう止めることができない、ということは、前から言われていたことだった。世界を引っくり返してしまうまで、もう誰にも止めることができなくなるだろうと。それだけ聞いたら、ロシアとはいったいどんな恐ろしい国なのかと思う。しかし、起こったことは、そうした想像とはまったく違うことだった。一年前にウクライナの内戦にロシアが軍事介入し始めてから、それが現実にどういうことなのかを、私たちは徐々に知ることになったわけだった。

 

 

ロシアが起きることになったのは、そもそもアメリカ中央情報局が何とかしてロシアを挑発しようと、ありとあることをしていたからだった。アメリカの軍事について絶対的な影響力を持っているシンクタンクのランド研究所は、ロシアはとても平和的な国だという報告を出していた。だから、ロシアを戦争に駆り立てるには、極度の挑発を行なうしかないだろうと。それでアメリカ政府が行なったのが、ウクライナのNATOへの接近とウクライナ国内でのロシア民族の虐殺だったわけだ。

 

 

ロシアがウクライナに軍事介入を始めたとき、西側世界は、不正のかぎりを尽くしていた。メディアも政府も、ロシアが一方的にウクライナを占領しようと侵攻してきたかのように言って、かけられるかぎりの経済制裁をかけていた。そればかりか、ロシア人だというだけで、公然と差別したり、ロシアの作曲家や文学者の作品までが排除されるようにさえなっていた。

 

 

それに対して、ロシアは完全に公正なやり方で対応していたのだ。ウクライナ軍はドンバスの市街地で市民を無差別攻撃しているのに、ロシアは国際法を守って、敵の軍事拠点だけを攻撃していた。ウクライナ軍はロシア兵の捕虜を虐待していたのに、ロシア軍はウクライナ兵の捕虜を人間的に扱っていた。キエフに侵攻していって、占領してしまえばよさそうなものなのに、ロシア軍はそういうことはしなかった。あくまで国際法を守って、ドンバスの市民を守ることに終始していた。

 

 

ロシアのそうした公正なやり方は、バカ正直すぎて不器用なようにも思えた。しかし、時が経つに連れて、その公正さこそが大きな力を持つことを、私たちは見ることになった。

 

 

これまでにも、アメリカの一方的で身勝手な外交に辟易している国が、世界にはたくさんあったのだ。米ドルを基盤にした国際取引で、世界中の国々はアメリカの金融資本家に自動的に搾取されているような状況だった。そうしたやり方に抵抗する国は、民族弾圧を行なったとか、大量破壊兵器を開発しているとか、根拠のないことをでっち上げられて、空爆されるようなことにもなっていた。ロシアがウクライナに軍事介入を始めて、西側諸国から経済制裁をかけられたとき、そうした国々がロシアに協力し始めたのだ。

 

 

アメリカ政府は、サウジアラビアに圧力をかけて、石油産出量を増やし、石油価格を下げようとしたけれど、サウジアラビアはアメリカの要請を拒否し、そればかりか、中国元で石油を売りまでした。それが始まりだったのだ。西側諸国がアメリカ政府が言うままに、狂ったように経済制裁をかけて自分の首を締めている一方で、アフリカもアジアも中南米も多くの国が経済制裁に協力していなかった。その時点で、ロシア外相ラブロフは、「一極支配は終わった」と宣言していた。今から一年ほど前のことだ。

 

 

世界中に不正がまかり通っている状況で、他の国を公正に扱う国が現れ、世界の不正に対抗し始めたら、これまで不正に苦しめられてきた国は、少しずつ味方についてくる。最初は恐る恐るだけれど、大したことが起こらないことがわかると、この動きは加速していく。次々と味方についてくる国々と、ロシアはフェアな経済協力のネットワークを作っていった。経済制裁によって、アメリカとの依存的な関係も切れ、米ドルの搾取的なシステムからも離れられるわけなので、経済制裁は必ずしも悪いことではなかった。米ドルを中心とした経済ネットワークが、不正と腐敗にまみれたものになっていく一方で、経済制裁をかけられた国々は、たがいにフェアな関係を作っていくことで、逆に豊かになっていったのだ。

 

 

アメリカ政府に分断させられていた中近東の国々は、中国の仲介で次々と国交回復していき、アメリカ政府はもはや石油で世界経済を動かすことはできなくなっていった。米ドル取引から離脱して、BRICSに加盟しようとする国は爆発的に増えていった。それはまさに、ロシアのバカ正直なほどの公正さゆえなのだ。アメリカ政府は、ロシアの軍事介入を理由に、アメリカの中央銀行のロシアの資産を凍結してしまった。米ドルに投資しても、アメリカ政府が気に入らないからといっていつ凍結されてしまうかわからないのだったら、米ドルを国際通貨として信用することなどできない。これまでは、それでもしかたがないから従っていたのだろうけれど、他に可能性ができたなら、離れていこうとするのは当然だ。中近東の石油産出国がBRICS側についたことで、世界中で米ドルから離れようとする動きが雪崩のように起きている。

 

 

今、ロシア外相ラブロフは、南米の国を次々と訪問しているけれど、最初に訪問したブラジルの大統領は、ラブロフとの会談のあとで、アメリカ政府がウクライナの戦争を奨励している、と公然と非難していた。ラブロフはその後、ヴェネズエラやキューバを訪問しており、南米でも経済協力のネットワークができていっている。多くの国は、アメリカから経済制裁かけられて苦しんでいたのだから、ロシアと繋がることでフェアな取引ができるようになれば、経済的に豊かになっていく。このネットワークは必然的に拡大していく方向だ。ブラジルでもキューバでもヴェネズエラでも、ラブロフ外相は熱い歓迎を受けたようだ。それは、政治家同士が握手している画像を見ただけでも、感じられる。これは単なる外交的な握手ではなく、本当に国と国とが「手を結んだ」のだということがだ。

 

 

ところで、4月19日はクリミア半島併合240周年だったのだそうだ。2014年のウクライナからの併合ではなくて、1783年のオスマントルコからの併合だ。そのときはタタール人に支配されていたクリミア半島で、住民の希望でロシアのエカテリーナ二世がクリミアを併合することになったということだった。タタール人よりもロシア帝国の方がフェアに扱ってくれるからということだったらしい。2014年にも、ウクライナ政権がアメリカの工作員に乗っ取られてナチ化している状態で、迫害に遭ったクリミア半島が真っ先にロシア併合を住民投票で決めて、併合された。このことは、歴史的にもロシアは公正な扱いをすることで力を増していったということを示している。

 

 

ロシアや中国が公正な取引で国際関係のネットワークを広げていっている一方で、アメリカ政府は、ますますあからさまに不正を行なっている。ウクライナへの軍事介入が始まってから、西側諸国の銀行は、ロシアの資産を経済制裁として凍結していたのだけれど、アメリカ政府は、その凍結したロシアの資産を、ウクライナの復興のために使うことを決めたのだそうだ。ロシアの企業だからといって勝手に凍結するのもあり得ない不正だけれど、それを凍結したばかりではなく、勝手に使ってしまうなど、略奪以外の何物でもない。これと同じことを、ナチスドイツはユダヤ人に対してやっていた。まさにそうしたことを、アメリカ政府は今ロシアに対して、公然とやろうとしているのだ。

 

 

ヨーロッパでは、凍結した資産をウクライナのために流用できるかどうか検討した結果、法的にそれを正当化する可能性はない、という結論が出た。この資金は、ウクライナでの紛争が終わったあとで、ロシアに返却するしかないと。だから、アメリカが国内でどう法律を変えたからといって、凍結した資産を勝手に流用することなど、国際的な不法行為でしかないのだ。しかしアメリカは、国際的な違法行為など、これまでにいくらでも行なってきた。この凍結資産の流用の決定は、こうしたアメリカ政府のあり方を、はっきりと示してしまったようなところがある。

 

 

そればかりか、この頃、国連の人権理事会で、ロシアに対する一方的な経済制裁は国際法上違法なので、即刻やめるべきだという決議が出されたそうだ。何と、経済制裁も違法行為だったのだ。ほとんど誰もそんなことを知らないくらいに、経済制裁は当たり前のように行われているけれど、考えてみれば、経済制裁によって犠牲になるのは、ごく普通の庶民だ。物価が跳ね上がったり、物資が不足したり、必要な医薬品が急に入手できなくなったりすることで、死ぬ人だっている。軍事攻撃だって、市民を巻き添えにすることは、国際法で禁じられている。アメリカ政府とNATOは、そういったことをこれまでに一体どれだけ破ってきたのかわからない。それで、その責任を問われることもなく、これまで来ていたわけなのだ。

 

 

人権理事会の決議でも、西側諸国はもちろん反対に投票したし、決議も無視して、経済制裁をやめようとはしていない。これまでは、それが当たり前に通ってきたわけなのだけれど、今や西側はそれで世界の他の国々からますます孤立していっている。アメリカもフランスもドイツも、ロシアや中国に対抗して、何とかアフリカやアジアの国々を繋ぎ止めようとしているけれど、どこでも冷ややかな対応しか得られていない。アメリカ政府の言うなりに物を言うマリオネットにすぎないので、まるきり状況に外れた発言をしては、反発を食らっている。

 

 

その一方では、中国を訪問して習近平と会談してきたフランス大統領マクロンは、その後、台湾問題については、ヨーロッパはアメリカに従って関わるべきではないと言い始めたりしている。西側の中でも、もうアメリカに従ってばかりいるのをやめようという動きが出てきているのだ。実際、アメリカ政府の言うなりになっているのは、選挙資金を援助してもらっている一部の政治家だけのことで、国民の意志などではない。西側諸国は、そのマリオネットたちから国を取り返すしか、もはや道はないというところに来ている。

 

 

アメリカでも、起訴やら何やらで不正な目に遭うごとに、トランプの人気はますます高まっているし、民主党でもロバート・ケネディ・ジュニアが立候補していて、さかんにバイデン政権を批判している。ウクライナへの軍事援助についても、ロシアのレジームチェンジを目的にするのはおかしいと言っていた。これまでは、石油利権と米ドル優位の金融システムから入ってくる豊富な資金で選挙操作して、金融エリートの言うなりになるマリオネットが政権につくように仕向けられてきたのだけれど、もはや石油産出国も言うなりにならず、米ドルの信用も地に堕ちている状態では、それもできなくなってきている。そうなると、アメリカの政治が一気に変わってしまう可能性もある。

 

 

一度ロシアを起こしたら、もう世界が引っくり返るまで止めることができないとは、まさにこうしたことだったのだ。公正さこそが力を持っているということを、ロシアは大国として長い歴史の中で知っていたのだろうか? とにかく今、世界で起こっていることは、まさにそうしたことだ。世界中の多くの国は、ロシアが他の国を公正に扱う国だからこそ、次々と協力関係を結んでいる。そうやって、公正さが通る世界が、確実に広がっていっている。

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画像は、キューバを訪問して、キューバのロドリゲス外相と会談するロシアのラブロフ外相。