京都皇統の解禁秘史
天皇とワンワールド(国際秘密勢力)




京都皇統の解禁秘史
天皇とワンワールド(国際秘密勢力)



レビュー

ただ出来事を羅列するではなく、
出来事の間を物語でつないでいくのが歴史だ。

しかし、時代も文化背景も異なる出来事を系統立てて記述することは、
特に古代 においては不可能とも思われてきた。

本書はウバイド文明を通奏低音に有史以来の世界史と日本史を照射して記述した、
まさに史上初めての世界史、人類文明の通史である。


しかも、その記述によって、皇統の秘密からフリーメーソン、欠史八代の謎、
天海大僧正の素性、密教の本質までが網羅されるのだから、
一読しただけでは到底理解の追いつかない深遠な曼荼羅をみせられているようだ。


かくいう私も、職業柄、秘史、秘話の類いを聞かされることが多く、
これまでは頭を抱えるか、とりあえず無視するかしかできなかったが、
落合シリーズによって思いがけず謎が解けたことが多かった。


これから落合氏の著書を読まれる方は、
せめて金融ワンワールドから通して読むことをおすすめする。


著者自身にも無意識のうちにあった被害者意識から、
歴史事象に必要以上の悪意を読み取っていたものが、
研究が進むに従って一つ一つ解きほぐされていく。

偽史の罪とケガレを禊ぎ、
祓う過程を読者も追体験できるはずだ。


今回の著作は「金融ワンワールド」(2012年)の続編で、
テーマは「わが國體とワンワールドの相互関係」。

但し「世界状況をみるに基調的変化は
全く生じ ていないので金融問題や時事問題には立ち入らない、

それらの問題を憂慮する読者には前著の再読を勧める」
そして「前著執筆時に考え及ばなかった点を修正することとし、

ワンワールドの東の極たる日本の列島史における
真相の洞察を試みた」と落合氏は語り始める。

氏の言う「ワンワールド」とは、金融・宗教・軍事 などの分野に
秘かに存在する国際的な秘密勢力のことである。
(ちなみに、国際金融連合はその一部に過ぎないそうだ。)

 
さて、今回は「大塔政略」 を軸とした
秘史シリーズよりは大変スムーズに読み進められた。

話題は盛り沢山だが、
大きく見て歴史的に古代から順々に手前に至る流れがあってか、
とても構成が良かったと思う。(生意気に失礼!)細かい点でも、

天皇の名前の右肩に
代位番号が振られていたのが画期的で非常にストレスが減った。

私も古代史が好きなので、氏の投げかける
テーマとヒントに「んっ?」と疑問に思っていると、
後段にてそれらが解決されていく。

今著で日本の古代史において
私が疑問に思って いた事がかなり解決された気がした。

落合氏は血統・血脈・血筋といった事に強いが、
ここに宗教が絡み、カネが絡めば怖いモノ無し。

だからこそ最終盤の聖徳太子関連話が私にとっては白眉だと感じたし、
第1回遣隋使の謎と秘密についての新解釈は、
満州エリアの登場で私の地理感をぐっと広げてくれた。

「欠史8 代」に関しても同様。
ミマキやミマツが任那との関係というのも頷けるもので得心がいった。

 
現在かなりの歴史家が、朝鮮半島から先進のモノやコト が渡ってきた点を
倭やヤマトの列島側が一方的に劣っていたが如くに記述しているが、

近年DNAの判断などからも縄文が見直され
その時代の人々の移動といっ た見方が変わりつつある。

つまり古くは、半島南部は
列島からの移民が相当多いと考えられているのだ。

時代的にも神武の頃は海抜が高かったようなので、
日本海側の海の流れも現在とは異なる様相を呈していたのであろうか?

いずれにせよ私は「求めよ、さらば与えられん」的に、
列島側が主体として動いていたのだと考えたい。

ところで、氏が最初に記すのはウバイド文明である。
シュメル文明に先行するものとしてかなり精神的な面を強調する。
マニ教の話もそうだ。

氏の記述からは善的な印象を受けるのだが、
もしその流れを東の極として受けたこの列島、

そしてその新たな主を天皇としてとらえるならば、
現在のワン ワールドがあまりにも魑魅魍魎たる存在に思え、
どこに美しい精神性があるのだろうかと疑問に思う。

自給自足の農耕・漁労生活から種々交易が始まり行く中、
氏は騎馬民族系の武力と指導力を必要としたという点での招来を
正当化している様に思えるが、

記録に残っていないその他大勢の人間たちも当然存在していた中で、
自らの支配者としての正統性を記録してきた一部のグループのみの
都合なのでは?とも思う。

それに、言ってみれば労働はしないでも食って行けるという体制
:既得権益を手放さないぞという姿勢には誰も言及しないようだ。

もっとも歴史の節々でその層も移り変わるのだろうが…。

 
文中、楠木正成がいきなり偽装死として登場したりして、
秘史シリーズに負けず劣らず
あちこち落合氏の蒔く種が仕掛けられていそうな本だが、

とにかく読後感はスッキリしたもの。
後日の訂正も楽しみに、次のワンワールド本をお待ちしたい。


追 記(11/7) : 本章に入って早々、
私の書いたアマゾンの書評に関する回答が載っていましたので(p40~42)、
大変ビックリすると共に再度既刊本を読み直したところです。

私の疑問は母系要件にはなく地家作蔵の血筋です。

たとえ大室家の養子となって形式を踏んでも、
万世一系たるには作蔵自身も男系子孫でなければならないと考えていたからです。

しかし落合氏が『南北朝こそ日本の機密』で述べているのは
「さる筋」から「大塔宮の子孫に間違いない、と聞いた」いう話であり、

続巻でも「渡来朝鮮人系ともっぱら噂される(遼陽海賊)岸要三の息子
:作蔵」がその血筋にあるのは、(我々が知らない)「真の皇統譜」によって
確認されたと 仄聞する、という事だけなのです。

だから私は、氏が色々と外堀を埋めてきていながら埋め切れていないと感じていたし、
それ以上の発見を期待していたという心を素直に表わしたまでだったのです。








金融ワンワールド 
地球経済の管理者たち


著者の落合莞爾氏は野村証券でM&Aの仲介業務を立ち上げた一人で、
経営難に陥っていた日活を、当時はだれも思いつかなかった株式の増減資を使って
負債を 圧縮する方法で再生し、”兜町の天才仕掛け人”と呼ばれた人物だ。

今はやりの上場企業の私的再生の原形を作り上げたといってもいいだろう。

その落合氏が、 仕事を通し感じた矛盾の中から
ユダヤ人問題に行き着き、掘り下げ研究したのがこの一冊。

今は歴史研究の中で日本や世界の構造を分析する著者だが、
こうした 研究の入門書でもある。

さらに本書はなぜ著者がユダヤ人問題に行き着いたのか、
落合氏の半生を通して描かれていることから、
著者の半生記として読んでも面白い。






昭和天皇の研究 その実像を探る
 (祥伝社新書)/山本 七平


天皇陵と消えた宮都の謎 (タツミムック)/著者不明

天皇 (SPA!BOOKS)/矢作 直樹

天皇のロザリオ 上巻
日本キリスト教国化の策謀/鬼塚 英昭


舞い降りた天皇(下) 初代天皇「X」は、どこから来たのか (祥伝社文庫)/加治 将一

欧州王家となった南朝皇統 (落合秘史)/落合 莞爾


完全保存版 天皇125代 (別冊宝島 2128)/著者不明