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東京工業大学元陸上競技部の菊地です.
前回から「スポーツ栄養学」と題して,パフォーマンスを向上させるための食事やその他栄養についての基礎知識をご紹介しています.
第2回は「エネルギー補給」についてです.
1日で多くのラウンドを踏む選手にとって,1レース後のエネルギー補給は非常に重要です.
基礎的なことですが,このポイントを押さえておけば,いいコンディションのまま試合に臨めると思います.
参考にしていただけたら幸いです.
運動中は,主に筋肉中のブドウ糖を利用することによってエネルギーを得ます.
糖が不足すると,筋肉中のグリコーゲンが使われます.
それでも足りないと,血液中のブドウ糖(血糖)を利用します.
したがって,例えば1ラウンド後,次のラウンドでよいパフォーマンスを発揮するには,「筋肉中のグリコーゲンの回復」が重要になります.
このような短時間での回復では,運動直後に糖質を摂取することが大切です.
「運動直後」というのは,「試合・練習後,クールダウン前」です.
この時の糖質摂取量は1g/体重1kg
ブドウ糖(グルコース),ショ糖(砂糖),果糖(果物とか)
この吸収速度が速い順で優先して摂取しましょう.
この際,クエン酸を同時に摂取するとさらに筋肉・肝臓のグリコーゲン回復が早まります.
糖類をエネルギーに変える際にビタミンB群も摂取するのもよいです.
具体的には,糖質3~6%,塩分0.9%,+レモン汁(クエン酸)のドリンクを作って飲むのが効果的です.
実際は,電解質を多く含んだ市販のスポーツドリンクを飲む人が多いと思います.
ただ,上記成分濃度にそれがなっているかどうか確認しましょう.
スポーツドリンクを薄めて飲む人もいますが,そうするとナトリウムや塩素が少なくなるので,塩を一つまみ入れるとよいかもしれません.
食品を摂取する場合は「高糖質・低脂肪」が基本です.
できるなら,試合3時間前までに軽食を取りましょう.
(おにぎり,うどん,オレンジジュースなど)
試合間隔がこれより短い場合は,GI値(グリセミックインデックス)が高い食品を選ぶことをお勧めします.
穀類だと食パン・餅など,野菜ならマッシュポテトやニンジン,果実ならレーズン,その他はちみつやせんべい,これらはGI値がとても高いです.
注意してほしいのは,試合直前に多く食べると,血糖値が上昇した状態で運動することにより乳酸がたまりやすくなるということです.
ダウン・アップ等,動き出しの時間を考えながら,摂取してほしいです.