第三十八話、ギャンブラー


人は情報という名の輪舞曲ロンドで踊る仮面舞踏会の出席者である――
                                   by 安息王


私はもう何年も競馬を嗜んでいる。
自宅のPCにPATを導入し、CS放送でグリーンチャンネルに加入するくらい本格派だ。
今までJRAには、かなり年貢を納めてきたと自負している。
(ええ、悪代官なみに取り立てられましたとも)


今日は GI フェブラリーステークス。
いよいよ2008年度最初の決戦の日である。


実はここ2、3年、競馬新聞を買ってない。
競馬新聞を読まない方が、的中率も回収率も高かったりするからだ。
なぜなら、競馬新聞にはあるマジックが仕掛けられているから――


本命馬の調教師のセンセは、
「いやぁ~。今回は調子悪いから、うちの馬はあきまへんなぁ~」
とは口が裂けても言わない。
内心で「こりゃアカン」と思っていても、
「今回はやりまっせ!」
と強気の発言をするものだ。


逆に、
「いやぁ。うちの馬はたいしたことありませんから。まあがんばりますよ」
と謙遜している調教師に限って、内心では
「うちの馬はノーマークやし、イッパツ、かましたろか!」
と本音では思っている。


絢爛豪華な舞台の裏で、誰もが仮面を被りシノギを削る――それが競馬という世界。
そう、400円払って競馬新聞を買っていたのではない、
夢を買っていたのさ……



実は馬の人気とオッズは、みなが思っているほどアテにはならない。


・1番人気が一着になる確率は18~23%、それほど高確率ではない割りにオッズは低い。


・5番人気が3着以内に入る確率が、実は30~35%ある。
 (実は1番人気の単勝を買うくらいなら5番人気の複勝を買ったほうがマシ)


・ドンケツ人気またはブービー人気の馬が3着以内に入る確率は12レース中1回くらいはある。

 12分の1=約8.3%
 (オッズを考慮すれば、必ずしも分の悪い勝負ではない。もちろんコンディションによって誤差はある)


職業柄、データベースを扱うことが多くDB構築スキルがある。
そこで、実際に過去3年分のデータをすべて入力して統計を取ったことがあるのだ。(←アホです)


モニターを穴が開くほど見つめ続け、会得した極意!
先代のCRTは本当に穴が開いて、液晶に買い換えたほどである。(大嘘)


競馬にはいくつもの定説やデマがある。
が、統計を取って現実を冷静に見つめると、なんとまあ人気がいい加減なのかがみえてくる。
人気馬は意外と信頼できず、穴馬は買い方次第では確率的にもそれほど見劣りしないのだ。


野も山も皆一面に黄色ならアホウになって白を買うべし
先物買いの極意、先人の知恵である。



では馬券に絡める穴馬をどうやって見極めるか――。
こればかりは絶対の法則は無い。

人それぞれにノウハウを蓄積するしかない。


が、ひとつ確かなことは、馬連・ワイド・馬単・三連単、など色々あるが、
馬券の基本は、単勝複勝である――ということ。


私は馬を見る時、

「コイツの単勝にイッポンツッコめるか?」

「コイツの複勝にイッポンツッコめるか?」

と、自分の心に問いかけて、じっくりと秤にかけている。


単勝・複勝を見極められない者に勝利はない。

ボックス買いだのフォーメーションなどといったところで、
結局、最後にものをいうのは馬を見る鑑定眼――いやさ、もう心眼と断言してしまおう。


そう……

馬券を当てるのに必要なのは、心眼だったのだ!

心眼を開くのに、他人の主観はむしろ邪魔。
煩悩を排除して、客観に徹しなければならないのである。
(ギャンブル自体、煩悩のカタマリ、というツッコミはあえて無視して)


その意味で競馬新聞は、記者や競馬関係者の思惑が交錯する主観の塊であり、余計な情報なのだ。

そうなのだ……

心眼を開くには、煩悩退散!

これが最も肝心なことだったのだ。


競馬好きの人達と同じ話題で盛り上がるのは一向に構わない。
しかし真剣勝負に勝つために余計な馴れ合いは不要なのである。


そう、すべては競馬新聞とJRAによって仕組まれた、陰謀だったのだ。
「少しでも馬券が売れてくれればいいな~」と、メッキやハリボテで馬をよさげに見せているのだ。
そのマジックに踊らされると、冷静に考えれば買う気になれない馬券についつい手が伸びてしまう。
そして私はそのマジックに見事なまでにハマり続けた、単純バカだったのである。


もうよそう……
マジックに惑わされぬために、競馬新聞を買うことをやめた。
(ここで競馬そのものをやめないのが、競馬バカ)



余計な情報をシャットアウト。
ネット情報で純粋に馬のデータのみ精査して、にらめっこ。
デイトレーダーのごとく、無機質な液晶画面を相手にクレバーに情報を吟味するのだ。



ちなみにパドックは一切見ない。

だってシロートの私が見ても馬の調子の良し悪しなんて、よくわからないから。

わからないものを見て、ヘタに他人の意見を聞くと、惑わされるだけ――

だったら最初から見ないほうがいい。


本当に大切なのは、わからないコトはわからない、と現実を素直に認め、

自分に理解できる範囲で、できることだけする、ことなのだ。



それと、応援してる馬がいるなら、
「単勝100円買っときなさい。お賽銭は100円あれば十分です。たまに、ご利益アルカモネ」
程度に考えておいた方がいい。


名馬シンザンの調教師、武田文吾先生は

「馬に惚れるなよ」

と口グセのように語っていたそうである。

馬券でも同じことが言える。馬に惚れちゃいけない。

クレバーに徹して、切り捨てる時はバッサリいくべきなのだ。



この境地に到達するまで、高い授業料を払い続けてきた――


心の声: お前は勝ちたくないのか?

本音:  勝ちたい!

心の声: では感情を捨てろ、ひたすら獲物を狙うケモノになれ。トラだ! トラになるのだ!

本音:  それのドコが楽しい? 好きな馬を買って楽しめばいいだろう

心の声: わかっちゃいねぇな。勝つのが一番楽しいに決まってるだろう!

本音:  う、うみゅ……なるほろ。



と、こうして心の声(悪魔のササヤキ)によって私は生まれ変わったのだ。

(悪魔のササヤキに騙されてる気もするけど、気のせいです)


もう以前までの私ではない。

上がりはコンパクト、振込みはジャイアント――とはオサラバ。

投資はコンパクト、上がりはジャイアント――に目覚めてしまったのだ。


この境地に達してからの戦果はすさまじいものがある。


一回のGIレースで、5,000円くらいしか買わない。

しかも、かなり点数を絞り込んで、ピンポイントに狙い撃ちしている。

もう気分は、リック・ドム×12機 を相手に「そこっ!」の一言で打ち落とす某ニュータイプ状態。


菊花賞でデルタブルースの単勝一点買い(45.1倍)に5,000円ツッコみ、225,400円をゲットした程の漢である。

この年度は特に調子よく、10万級の当たりを連発して50万ほど勝った。

(ああ、今この金があれば……)


2007年のあるレースでも、わずか3400円の投資で、85,600円の馬単を200円買っていた。

勝ち分およそ17万のうち、半分をパソコン新調資金に充て、残りの資金でツレやツレの嫁さん家族を招いて神戸の中華街で祝勝会を催したほど。

(私の競馬仲間では馬券ウィナーが外れたツレ全員におごるという恐るべきルールがある)


ここ2、3年は、毎年必ず 10万級の大当たりを出している。






言うまでもないことだが、2008年度もひたすら攻勢あるのみ!



そして、よしんば大穴をゲットしたら、

私の当たり馬券は――










































フルクラム レーシングZERO へと化けるのだぁぁ~!
(ようするに、これが言いたかった)



そうっ! すべては

フルクラム レーシングZERO のために!

煩悩……

い、いや違う! 断じて違うぞ!

フルクラム レーシングZEROへの崇高な想いは、断じて煩悩ではない。



ある日、私の FELT F75 が真紅のホイールに身を包んでいたら、

「アノヤロウ! ヤリヤガッタナ」

と思っていただきたい。

(あ、でも当たりがショボかったら、レーシング7になるかも)



あ、ちなみにブログに馬券予想は載せません。

だって予想してないから。


私がしてるのは、心眼による見切り、もしくは単なる絞り込み作業、です。

楽しむための馬券ではなく、真剣勝負、ですから手の内は明かしません。
(フルクラム レーシングZEROのために!)


翌日のブログで競馬のことに一切触れていなかったら……

ツカンポの花が咲いた――
と察してやってください。




ふっふっふ、競馬場には宝の山が埋まっている。

(ま、地雷も埋まってるかもしれんけど)

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