~現在連載~「奇怪の女御」
美貌を謳われた鳥羽天皇中宮璋子。
またの名を「奇怪不可思議の女御」。
その波乱の生涯を描いた歴史小説。
歴史的事実を下敷きにしてはいますがあくまで創作です。
ひどくご無沙汰してました・・・
いや、お恥ずかしい。。。
続きが浮かばないわけではないんですが、書いてない(爆)
続けるためのブログ連載じゃなかったのかという、厳しい自主ツッコミの嵐です。
とりあえずまだ続ける意思はあるのですが、
当分は放置プレイということで。。。
資料作る時間がないんじゃあ~~~><(ま、言い訳ですけど;)
第2章・・・2
居並んだ女房たちが不意に頭を深く垂れた。
目の前の御簾がするすると巻き上げられ、むせるほどの香りが漂ってくる。
そしてその香気に包まれ、ゆったりと脇息にもたれかかっている一人の女性が私の目に飛び込んできた。
長い黒髪がはらはらと肩に流れる様、扇に隠れ見える額の白さ、鮮やかな襲の色。
その姿は今まで見たどんな物語絵の姫君よりも、華やかで麗しかった。
一瞬見惚れた。
そして、次の瞬間、私は恐ろしさにさえ似た感情を抱き、思わず手をつき、頭を下げた。
「顔をお挙げ下さいな、姫よ。そしてその顔をよく私に見せて下さいな。」
少し低い声音には聞き覚えがあった。私はおそるおそる顔をあげる。
「おお、これほど大きくおなりとは。」
華やかな微笑みを浮かべ、彼女は言った。
「私のことは覚えておりますか?」
私は首を横に振る。少し哀しい気持ちになった。
「そうでしょうね、まだあんなに小さな頃でしたもの。私は祗園と申すものです。」
「祗園…さま…?……白河殿と言われたのに…。」
「そうとも呼ばれておりますのよ。」
私の不思議そうな顔がおかしかったのか、彼女はさらに笑みを零しながらそう言った。
「これからは、この館が姫のお住まい。私のことはどうぞ母とお思い下さいな。」
「母上…さま?」
「姫を産んだわけではないですけれどね。
生まれた時から、私があなたの母になることは決まっていたのですよ。」
そう言われても、まだよく状況が飲み込めない。不安が込み上げ、涙が溢れ出す。
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第2章・・・1
どのくらい揺られていただろうか。
「姫様、お目覚め下さいませ。白河殿のお屋敷に到着いたしました。」
曜子の声がひどく遠くで聞こえた。
どうやらいつの間にかまどろんでいたらしい。しかし少しも眠っていた気はしない。
慣れ親しんだ部屋、父の姿、今までそばに仕えていた女たち、
全てがいっしょくたになって、体の中に渦巻いていた。
再び曜子に手を取られ、私は車の外に降りる。
ゆっくりと部屋に通され、座るように促された。
言われるままに腰を下ろし、辺りを見回す。
そしてはっとした。
(私はここを知っている。)
豪華な調度に囲まれ、華やかで美しい女房たちに囲まれ、こうして座っている自分。
錯覚ではなく、確かに自身の体験だと、突然に甦った記憶が語りかけてくる。
今まで、物語絵の世界と現実をないまぜにしたものと思っていた、頭の片端に時折浮かんでいた、光景。
それと目の前のありさまは全く同じものだった。
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図書館に住みたい
なんか答えろと言わんばかりのTBだったので、つい。
僕は近くにありさえすれば、とにかく図書館にいたい。
本の洪水に埋もれるのは幸せだ。
タダだから普段なら読んだり手にとったりすらしない本に目がとまる。
偶然の出会いから、感動したこともしばしば。
あまり新刊やら、流行や話題の本にこだわらないので、品揃えにも基本的に不満はない。
願わくば、もう少しだけ飲食に寛容なら嬉しいんだけど。
図書館って意外と喉が渇くので。
館内に美味しいカフェがあれば最高ですね。
いりびたるぞ(笑)
あ、ちまちま続き書いてます。
「奇怪の女御」
第二章はメンテナンス後に。。。
また、自由な感じで(一回の記事の長さとかね/笑)、再開いたします。
第2章に入るのに
ちょっと時間がかかりそうなので、
思い切って、メンテナンス後と宣言しておきます。
それまでは普通(?)のブログとして活動。。。(予定)
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ちょうど、「雑音を纏いながら。」 のちえさんから、楽しそうなお誘いをいただいたので、
それを繋げてみようかと思います。
「Music Baton」
海外のブログに端を発する、音楽に関する企画、だそうです。
以下の4つの質問に答えて、
次の返答者をお気に入りブロガーさん5人に指名してお願いする。
と、いう遊びだそうです^^
●Q1.PCに入っている音楽ファイルの容量は?
●Q2.今聞いている曲は?
●Q3.最後に買ったCDは?
●Q4.よく聞く、または特別な思い入れのある5曲は?
すいません、僕には今のところ、二人しかお願いできる方がいません(爆)
ちえさん、ごめんね。
僕の次の人がまた5人に繋げてくれるといいな。。。
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というわけで、僕の答えは。。。
●Q1.PCに入っている音楽ファイルの容量は?
ありません。
音楽ファイル。基本、僕のPCの食べ物はテキストと画像のみです。
●Q2.今聞いている曲は?
今は聴いてません。
この後、部屋でジャズか好きなバンドのCDかを聴くかも。
まだ未定。
●Q3.最後に買ったCDは?
BUMP OF CHICKEN 「車輪の唄」
レンタル落ちで買いました。。。
●Q4.よく聞く、または特別な思い入れのある5曲は?
5曲もあげられるかな。。。
①BUMP OF CHICKEN 「Stage Of The Ground」
恋人が私にと歌ってくれたことがある。嬉しかった。
②QUEEN「I was born to love you」
かっこいい。ラジオで流れてきてはまった。
③ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」の全部の曲。
とにかく衝撃的だった。
映画でしか観たことないけど。
④Pierrot「クリア・スカイ」
これを聴いて受けた試験で落ちたことがない。
なぜだ。。。
⑤Billy Joel 「HONESTY]
中学生の頃、わけもわからず泣けた。
バンプだけリンクを貼ったのは、まがりなりにも好きなバンドで、
一応パソにお気に入りで登録してあるから。
他は手抜きしてすいません(爆)
好きなバンドは他にもいるけど、逆に好きな曲が多くて絞れなかった。。。
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こんなカンジでいいでしょうかね?
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<追記>
あの、お願いした方、ご不快に思われましたらすいませんでした。。。
僕はこのたび、お気に入りに登録して下さっていて、
コメントも多く下さるちえさんのお誘いなので、参加しましたが、
もしあまり知らない方から同じものが来たら、それは遊びではなく、
チェーンメールみたいなものだと感じると思います。
TBにしろ、なんにしろ、ブログにはブログなりのつながり方が色々あって、
それに共感するかいなかは、個々の気持ち次第だと思ってます。
なのでお断りくださってもこちらは全く気にしません。
むしろ気を遣わせてしまって申し訳ありませんといったところです。
気持ちよくつながっていきたいと思っていますので、
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
>ちえさんへ
僕自身は楽しみました。
ありがとう^^
『奇怪の女御』 第一章
終わってしまいました(爆)
やぁ、なんというか、自分でもちょっと予定外なのですが(笑)
とりあえず姫が連れ出されたところまで、一区切りつけようかと思いました。
次からは「第二章」として書いていく予定で、
ここまでのところは少しまとめて、あらためてアップしなおすかもしれません。
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さて、、、、、言い訳の時間です(爆)
①姫の周囲の人物に関して
実際はですね、この主人公の姫君にはちゃんと乳母2人が記録に残っています。
それをちゃんと書こうかと悩みました。
でもこれは「小説」でありまして、決して「歴史的事実」を述べる必要はないと、
自分で自分に言い聞かせました。
「歴史的事実」を語る大切さは重々わかっていますが、「創作」は別物と考えようと思います。
なので、これから先も歴史的事実とは異なる箇所は出てきますが、
それを「歴史的事実」とは違う!とご指摘を受けてしまうと、きっと僕は困ってしまいます(苦笑)。
だからと言って、この「小説」が事実なのだと思われてしまうこともまた、僕の本意ではありません。
そこで、その点に関しては、こうして「閑話」などで史実を解説したり、参考になる文献を紹介したり、
そうすることで「創作」と「歴史」を共存させつつ、リンクさせつつ、自分も楽しみ、
さらに読者の方にも楽しんでいただければと思っています。
これをきっかけに「歴史」に興味を持ってくださる方が増えたなら、それは僕にとって最高の賛辞です。
②姫が屋敷から連れ出される件について
はい、この件に関しては、ちょっとネタバレになりそうなので、さらりと。
恐らく、この姫は「歴史的事実」としては、自宅で父の喪に服し、
その後、どこぞへと連れ去られるという体験はしていないかと思われます。
(もちろんタイムマシンで見たわけではないので、事実はわかりませんが。
ただ、僕はここでは、この姫を『源氏物語』で光源氏に連れ去られる紫の上に見立てました。
よってあえてこのような展開となっております。
どうかご了承ください。
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小説の参考として、この時期の歴史も地道に勉強中ですので、
もしこのブログをご覧下さっている識者の方いらっしゃいましたら、
一次資料、二次資料、色々とご紹介くだされば幸いです。
それではこれからもよろしくお願いいたします。
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第一章-9
彼女の体に焚き染められた香が、私の体に纏わりつく。
香に混じって、かすかにそれまで感じたことのない空気を感じた。
五人の美女は、まるで私を竹取の翁たちから連れ去っていくように、
あくまで優雅に、そして自然に私を外への世界と案内していく。
小鼓も篠笛も追ってはこない。
銅鑼は、まだ幼く、私と姉妹のように共に遊んだ女童の琴が、私を追いかけようとするのを、
抱きすくめるようにして引き止め、そのまま深々と頭を下げる。
私はそれを目の端にちらりと感じつつも、それをはっきりと確かめる暇もないまま、連れ出された。
門前に牛車が待たせてあった。
私ですら今まで見たこともないほどの贅を尽くした立派な雨眉の車が一台。
そしてその後ろに、私が以前何度か乗ったことがある檳榔毛の車が1台止まっていた。
私は前の車に乗せられる。同じ車に曜子が共に乗り込んだ。他の女房は後ろに続く車に乗り込んだようだ。
牛車はゆるゆると動き出した。
私はまだ自分がどこに行くのさえわからぬまま、そして尋ねることも出来ぬまま、
ただゆらゆらと車の揺れに身を任せることしか出来なかった。
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めずらしく
資料を作っているうちに沈没。。。
今までにもいつのまにかパソコンの中に、
知らない作品が出来ていることはありましたが、
電気もパソコンもつけたままの沈没は珍しすぎる。
初めてかもしれないです。
そんなわけで続きはまだ書けてません。
頭の中で、平安の姫様たちが、十二単で暴れてます(笑)
しかし勉強しないといけないことが多い。。。
このくらいの時代は、下手に資料が多いので大変ですね(苦笑)
自分が一番詳しい時代はどこだろう。。。
飛鳥~奈良か、鎌倉前期ってとこかな。
後の時代は、結構、無知に近いです(爆)
付け焼刃で、なさけないけど、がんばって勉強します><
第一章-8
やってきた女たちは皆で五人。
それぞれが己によく似合う色の衣を身につけ、香の香りを漂わせている。
暗く湿っていた部屋に、突然、花が咲き乱れたようだった。
まるで物語の中から抜け出して来たような、華やかで美しい彼女たちの姿は、
今までの私の周りに侍っていた女房や女童の姿を、いっそうみすぼらしく見せた。
実際、小鼓も篠笛はおろか、普段は堂々としている銅鑼でさえ、
突然の花吹雪にあっけにとられ、身じろぎすら出来ぬようであった。
五人の女房の内の一人が私の前に進み出て、深々と頭を下げた。
「枯野」の襲の上に、たっぷりとした黒髪が垂れる。
「姫さま、この度のご不幸、心よりお悔やみ申し上げます。」
そういうと女は顔を上げた。際立って色が白い。
「お初にお目にかかります。私は白河殿の女房の曜子と申します。
以後、私が姫様のお世話をさせていただくこととなりました。どうぞ何でもお申しつけ下さいませ。」
「白河殿?」
「ええ。詳しいことは白河殿とお会いになられましてからにいたしましょう。どうか何もご心配なさらず、私と一緒にお出で下さいませ。」
「何処に行くの?」
「白河殿の館でございますよ。姫様もきっとお気に召すはずです。」
曜子と名乗ったその女は、そう言って微笑む。肌の白さのためか、美しい笑みが、どこか寒々として感じられる。
「さあ、それでは参りましょう。」
彼女が、私の手をとった。
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第一章-7
屋敷中が、まるで丑三つ時をさ迷っているような日々が続いた。
ほぼ一色に統一された空間で、誰もが涙を絶やすことなく、家の中に篭っていた。
(きっとこの屋敷は水に沈んでしまうに違いない。)
まだ私はことの重大さをわかっていなかった私は、不謹慎にもそんなふうに思った。
陰鬱な空気が三日も十日も続き、いい加減飽き飽きしていた。
毎日楽しみにしていた物語を聞きながら、煌びやかな絵を眺めることも、
その物語を自分で再現しては夢に浸った人形遊びもできなかった。
そっと女房たちの目を盗み、庭を垣間見ても、
そこには枯れ木と、初冬の鈍色の空を映した池が広がるばかりであった。
そのことに私は少し泣いた。
私の目はただひたすら色彩を欲していた。
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そんな日々が、およそひと月以上も続いた頃、私の部屋に、突如、とりどりの色が飛び込んできた。
「椿」の鮮やかな紅、「雪の下」の白と紅梅の対比、それらの色目は、泣き濡れ枯れた目に痛いほどだった。
それは美しく着飾った女たちの纏った小袿の襲の色合いだった。
その女房たちの中に、私の知った顔はひとつもなかった。
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