昔々、海に囲まれた島に1人の男の子がいました。
その男の子は内気な性格で、なかなか他人に自分の心の内を見せるのが得意ではありませんでした。
男の子は旅に出ました。
誰と行くわけでもない、ひとり旅です。
自分の住んでいる島から出るのさえその男の子にとっては初めてでした。
旅先はその男の子の住んでいる島から少し離れた、その周辺の地域では最も栄えている都でした。
正確に言えば目的地はその都からさらに少し移動した土地です。
男の子はその旅で、男の子にとって運命的と思える出会いをしました。出会ったその子は女の子でした。
その女の子は長い髪で、綺麗な鼻をしていて、どこかに寂しさのようなものが滲んでいる女の子でした。
男の子はその女の子を好きになりました。
それもこれまで生きてきた中で最も好きになりました。
この女の子のためなら何処へでも行けると思えてしまうくらいです。
そしてまた女の子もその男の子を好きになりました。
どれくらい好きだったのかはわかりません。
その旅の、そのただ2週間という時間が2人を惹きつけました。
しかしこれはあくまで旅です。
移住先を探して放浪しているわけではありません。
男の子はその土地から島へと帰らなければなりませんでした。
女の子はその都に住んでいます。男の子はそこから少し遠い島に住んでいます。
そして、お別れの時間がやってきます。
男の子はその帰路で泣きました。
こんなに別れが寂しいと感じたのは久しぶりでした。
男の子は勝手に出てくる涙がとまりませんでした。
2週間という時間の中でそれほどまでに、その女の子のことを愛しく思っていました。
男の子と女の子は別れてからも連絡を取り続けました。
出会った時から連絡を取り続けるうちに、男の子は女の子の無邪気さに釣られて自分自身も前より無邪気でいられるようになりました。
そして男の子はその女の子のいる土地へ仕事をしながら住むことにしようと決めました。
女の子とは連絡をしなくなってしまいましたが、それでも男の子は構いませんでした。愛しているからです。
男の子がその都に住み、女の子とどうなるかはわかりません。
また出会って恋をして愛し合うかもしれないし、その女の子とは違う人と愛し合うかもしれない。
どうなるかは分かりませんが、男の子の人生はまだ続いていきます。