射の大義
中る射とは動かぬ的に中る矢を放つ事で、射法八節に代表される型を会得することである。射法八節にも様々な深奥があり、その奥義は正射である。正射は会での矢筋通りに射出した矢がのじないもなく、正鵠を射る。耳を澄ませば、弦が空を切り弦笛を鳴らし、空を切る羽音をたて、その後的中音がする。・・・ピュー、シーン、パンと。しかし、中る射は正射を除いて、弓道の名に値しない。中ることは衆人の称賛を得ても、弓道の深淵を少しも観てはいない。射の在り様,即ち自己認識からの世界把握がなされていない。弓道、道とはその一に於いて、世界の認識と生きる指標を得る行為である。知ると云うのは、言葉でではなく、実感だから、先人の話や書を読むのではなく、矢を射る様な道を人は行う。