名便利屋、力尽きる。 | そして神戸・新館

名便利屋、力尽きる。

読売ジャイアンツ、木村拓也コーチ…ついに力尽きられてしまった。


2日に倒れられて以来、日記などで激励の言葉を書きたかったけど、言葉が思いつかなかった。
奇跡の回復を勿論心の中では願いつつも、伝わってくる絶望的な病状の重さに、軽々しく「がんばれ!」とは言えなくて…。


そして神戸・新館-キムタク
※03年頃・Yahoo!BBスタジアム(現スカイマークスタジアム)にて。


本当に大好きな選手でした。

とにかく全ポジションを守ってしまうその特異なプレースタイル。
1つのポジションを名手としてこなしてしまう選手、記録に残るような活躍を残す選手・・・こうした選手とはまた一味も二味も違う、その「何でもアリ」な凄みやワクワク感に、ずっと惹かれ続けたものでした。

時に内野、時に外野、そして時には捕手…1人で何役もこなしてしまう選手なんて、プロ野球界を見渡してもそうそういるものではなくて。
それゆえに決して派手なプレースタイルではなかったですが、「1人居てくれると助かる便利屋」的な存在感は、また独特の野球の面白さを感じさせてくれたんですよね。

同時期にやはり「便利屋」的に活躍した五十嵐章人(元マリーンズ・BW・バファローズ)選手のほうがBWファンの僕としては生で見る機会には恵まれ、こちらも大好きな選手ではありましたが…五十嵐の場合は失礼ながらどこか「器用貧乏」なところがあった。
その一方でキムタクは、ただ器用なだけではなく主力選手としてしっかりと結果を残した凄みもあった。
オープン戦や交流戦でカープ・ジャイアンツと戦うとき、生で見られるのを一番楽しみにしていた選手でした。


そして…彼の場合はやはり、名前が名前だけに注目を浴びることも多い選手で、TV番組の企画で実際に、同い年でもあるSMAP木村拓哉とキムタク同士の対談が実現したこともあったんですよね。


(球界の)キムタクと呼ばれる度、「何でいつもフルネームで呼ばれるねん」「普通に『木村』でええやん」「わざとやろ?」みたいなツッコミもよくされましたが、このキムタクがカープ・ジャイアンツと所属していた当時は、不思議と必ず木村姓が同じチームにもう1人居たものだから…常に呼称はフルネームだったんですよね。

自分が応援していたチームに所属していた訳ではないので、実際にサイン貰ったとか、このプレーに感動したとか、そういう身近な思い出というのは無いのですが…いちプロ野球ファンとして、プレーを凄いと思えた選手の1人でした。
それだけに、今後のコーチ業も楽しみにしていたので・・・残念でなりません。

ただ、家族も住むという思い出の地広島でその野球生活を全うされた…というところに、不謹慎ながらも運命的なものを感じてしまいました。

これまでに見せてくれたそのプレー、決して忘れません。
心より、ご冥福をお祈りいたします。