宮崎駿監督のアニメ「風立ちぬ」を観ました。

このアニメを作られた事の意味がとても大きいように思います。

堀辰雄の「風立ちぬ」は”結核を患う節子を小説家の主人公が愛し、死に至るまで寄り添う”という骨子の主人公を”零戦”という素晴らしい飛行機の設計をした堀越二郎に変えて作った作品です。

二郎の飛行機が美しい、子供時代に見た一冊の本と共に育んだ夢を生涯持ち続ける、純粋さは、妻となる結核に冒された節子との、誠実な愛と同じ線上にありますが、取り巻く世界は、戦争へ、戦争へと向かっていきます。

関東大震災昭和恐慌という、失業者が町に溢れ、農村は疲弊するという時代。それは「ウィキペディア」によると、”「持てる国」と「持たざる国」との二極化は第二次世界大戦勃発の遠因となった。”

ただ美しい飛行機を作るという夢が戦争に巻き込まれて行き、零戦は戦争で全て帰ってこなかったというナレーションで終わります。

戦争で300万人と言われる日本人が亡くなりました。そんな時代に再び進んでいくような気配を感じているのではないかと思われるようなアニメ映画でした。

「風立ちぬ いざ生きめやも」(ポール・ヴァレリーの詩の一部で堀辰雄訳)

「風立ちぬ」のプロダクションノートに

不景気、政治不信、大震災など、現代と酷似する1920~30年代の日本を生きる「風立ちぬ」の登場人物たち。『生きねば』というキャッチコピーをみることで、たとえどんな時代でも力を尽くして生きることが必要という宮崎監督の思いが見えてくるようだ。


と記されています。

堀越二郎は第二次大戦後初めての国産飛行機YS11号の設計、製作に「五人の侍」の一人として加わります。