あんなぁ よおぅききや/玉置 半兵衛

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タイトルの「あんなぁ よおうききや」 京の言の葉 しにせの以心伝心 玉置半兵衛著を読みました。


 京都言葉で、父から子供に、人の生き方、考え方、お商売の心得を話聞かせられたことは、その言葉が語られた情景、親子のやり取り、家の経済状態、時代の背景は、豊かな時代が続いている今とは大変違う、第二次世界大戦前後の苦しい時代のなかで、まっとうに、真面目に生きることが難しかった時代を生き、再び、老舗を再生させた著者が大切に守ってきた教えを、随筆という形で書かれています。


 「あんなあ ようおききや」とおとうさんが息子に伝えた言葉。「おききや」のなかに、聞く、聴く、利く、効くがときに応じてそれらの意味が込められていると著者は考えています。


 「ごまかしたらあかんで」

 「ええものを独り占めにしたらあかんえ」

 「世の中も、商売も、人間の生き方も一者や。いやなこと、辛いことが次々とある。けど、逃げたらあかん。それを胸いっぱいに受け止めて、辛抱して、頑張ってこそ解決できるんや。」・・・・


 京の老舗に限らず、古い老舗には、家訓が残されています。それを、日々の行いの中で、ときに応じて語り、教え諭されます。第二次世界大戦をはさむ前後。麸をつくる家業は、統制経済のなか。闇で設けることを断固として拒否してきた著者のお父さんの矜持、心の強さは、今、大切な教えだなと、心に響きました。


 こんな言葉が出てくる文章を読みながら、今日の言葉とはそんなに遠くない、大阪言葉に囲まれて育った私。祖母が、時々に話してくれたなかに、生きる知恵が沢山詰まっていたことを思い出しています。生意気盛りの私は、反発することが多くありましたが、そんな時にも根気強く、教え、さとしてくれたことが、懐かしく、語り伝えること。家庭での教育の大切さを、今、私たちは軽ろんじているように思います。


 関西でしゃべる言葉で書かれている本を読むときには、関西弁のイントネーションで、黙読であっても読んでいます。そうすると、とても親しく頭に入ってきます。言葉の裏、その言葉が持っている感じがスーッと頭の中に入ってきます。

ソクラテスの弁明 関西弁訳/プラトン

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 もう一冊、関西弁の本で面白かったのは「ソクラテスの弁明」関西弁訳 プラトン著 北口裕康訳

でした。「へー、こんなことを。ソクラテスさんが言うてはったんや」と、スラスラ楽しく読みました。