オーガニックフード、マクロビ、有機、無農薬・・・。人々がこんな言葉に関心を持ち始めたのは、とてもすばらしいことだと思いますが、同時に、持たざるを得ないほど私たちを取り巻く環境が悪くなってきていると言うことを認識し、変えなければと思っている証拠だろうと思います。


田村 安
オーガニック・ワインの本

 ワイン好きって言うほどではありませんが、時々、ワインを買ったり飲んだりしたいときがありますが、飲んだ後に頭が痛くなることがよくあり躊躇してしまいます。


 「オーガニックワイン」という本を読み、理由がわかりました。それは、酸化防止のために添加されている「亜硫酸塩」であるとのことでした。


亜硫酸塩は、古くから使われてきているから、大きな問題がないように言われていますが、私のように頭が痛くなる人が多くいることを知りました。同時に、ワインが本当の日本酒のように(今の大量生産品ではなく、各醸造元の個性的な)それぞれ、その地方の風土が出している風味豊かなものというのが有ることをも。


亜硫酸塩の許容値がヨーロッパに比べて約3倍、今、ヨーロッパから輸入されているオーガニックワインは約日本の許容値の10分の1だそうです。

 

 有機栽培の葡萄で作るワインは個性が華やかに生まれ、醸造家たちは作ることに愛情と情熱を持ち、それを輸入する人も、本当にワインを愛しているのがわかる本でした。


 化学肥料を使って葡萄を栽培すると、地下1メートルくらいのところに農薬が集まり、そこの土を堅く固めてしまうのだそうです。ところが、葡萄は乾燥地の果物ですから、根を地下10メートルくらいまで伸ばし、そこから成長に必要な水分を、土地に含まれているミネラルとともに汲み上げています。そこで、初めて、土地の個性にあった葡萄ができ、その葡萄を使った葡萄酒が、それぞれの個性を発揮するのだそうです。


 地下1メートルの所の土が硬くなってしまうと、それ以上根が伸びず、養分が不足します。ますます、化学肥料に頼らざるを得ません。結果として、個性のない、美味しくない酒になってしまいます。補うために、科学的トリックを使います。


 ミネラル不足の土は葡萄畑に限らないでしょう。有機農法で作られていない作物全てに当てはめることができるはずです。


 「人は、食べ物によって生かされている」と言うことは、「土によって生かされている」ことですし、それだからこそ、「身土不二」、「地産地消」という言葉が、深い意味を持ちます。連綿と続いてきた「命」は土地と密接に繋がっています。私たちが自然の一部であると認識するときに、健康とは?生きるとは?ということの答えの一部が浮かび上がってくるように思います。


 マクロビオティック健康法の本当の意味は、しっかりとした基礎を作り上げること。それには、その土地で育(はぐく)まれた食物が、祖先を健康に作り上げてきた祖先から受け継がれた食物が一番適していることではないかと考えています。