彼は癌になってから笑わない。
でも、たまに冗談を言う。

笑わないのは、手術で、顔の筋肉があまりうごかないせい?
口があまり開かないせい?

昨日宝くじが当たったらなにがしたい?
と彼にきいたら、しばらく考えて、わかんないと言った。

そうだよね。
好きなものを食べることもできないんだもんね。
抗がん剤や放射線で体は疲れはててるもんね。

ごめんね。
喉にあるものが癌だってわかって、手術しないと余命半年と言われて、あとの後遺症のことも想像できたけど、手術した方がいいと私は言った。

辛いのはあなた。
私は少しでも長く生きてほしいから、つらいであろういろいろな治療をしたほうがいいとすすめた。

あれからもうすぐ半年。
生きててくれて、ありがとう。