取材したものをこんなストーリに作り上げられる、筆の力を感じる作品です。ドラマにもなってたんですね~、文庫ランキングが2位という理由だけでどんな内容か全く知らずに読み始めましたsao☆





ブルーインパルスに乗る夢を不慮の事故で断たれた自衛隊パイロットが、自衛隊を広報する部署に配属されるところから物語は始まります。


一つの物語の中に色々な要素が入っている作品です。

flower11つ目は、『自衛隊』
最後に1章、東北大震災のことが加筆されてあります。これを書くために決まっていた出版日をずらしたそうです。どうしてあの日、松島基地の飛行機が飛び立たなかったのか、なぜ自衛隊敷地内にあるお風呂が開放されていたのか、なぜ被災者でもある彼らが支援物資に手を出さなかったのか、どうしてそれが報道されなかったのか、知れば知る程、涙・涙でした。

本には書かれていないことですが、東北大震災の時最前線で活躍した彼ら、実は消防や警察、医師・看護師と違い、死体を見たことがない隊員がほとんどだったそうです。そんな彼らが一日に何百もの痛んだご遺体を見つけ引き上げなければならなかった。そんな極限の状態で彼らが望んだ報道のあり方。頭が下がります。


flower12つ目は『仕事』
子どもの頃からずっと描いていた夢「ブルーインパルスのパイロット」実は内辞が出ていて、夢が叶う寸前だったんですね。交通事故に巻き込まれ障がいも残らないほどの怪我・・・普通の人ならそれでよかったのに、高い身体能力を求められるパイロットではその怪我は致命的・・・日常生活に支障がないなら他の人でもよかったんじゃないのか、なぜ自分なんだという苦しみを外に吐き出せず、周囲に自殺を心配される程だった主人公。その彼が、「なりたいものになれなくても、別の何かになれるんだ」と新しい部署で、ユニークな上司・同僚に導かれ仕事の本質に気づいていく場面が印象的でした。いつもいつも自分の望む仕事ができるわけじゃないけど、仕事っていいなって思わせてくれる作品です。

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ドラマでは、恋愛模様の強い仕上がりになっているようですが、本は恋愛ほんのりって感じです。それもなんかいいなと思えるような仕上がりになっています。作者の方が実際に自衛隊広報課を取材して作品に仕上げているので、お話し自体は作り話でもすごくリアル!お話しの中で、受けた取材やイベントにどれだけ費用対効果があるのかみたいな話しも出てくるので、本が売れドラマになったこの取材は大成功、広報されてしまったな~と最後には笑ってしまいましたおしまい