門の向こうに広がっていたのは、無限にそびえ立つ塔のような空間だった。 


白でも黒でもない、透明な光で構成された巨大な柱が、
宇宙の中心へと果てしなく伸びている。 


それは“心の塔(ハート・スパイア)”。 


ナイアが細い息を吐いた。 


「ここは……宇宙が生まれる前の“心の記憶”が刻まれた場所。」


塔の表面には、無数の光の線が走っていた。 

その線ひとつひとつが、星々の誕生、銀河の衝突、
光と闇の分裂、

そして無数の魂の進化の軌跡を刻んでいる。


レイアは塔に手を触れた。 


すると光が走り、塔の表面に映像が浮かび上がる。


そこに映っていたのは—— 

幼い自分が星を見上げていた時の記憶。 

初めて力を使った時の震え。 

仲間と出会い、別れ、涙を流した瞬間。


影のレイアもまた塔に触れる。 


彼女の前には、長く絶望に沈んでいた記憶が映り込んだ。 


孤独。 

拒絶。 

怒り。 

光に選ばれなかった痛み。


レイアはそっと影の自分の肩に触れた。 


「……ごめんね。こんなに苦しい思いをさせていたなんて。」 


影のレイアは小さく首を振った。 


「もういいの。
あなたがこうして見てくれるだけで……救われる。」 


塔の光が柔らかく脈動し、三人を包み込んだ。 


ナイアが微笑む。


「心の塔は、あなたたちの記憶を“統合”しようとしている。
 

全ての経験を、光と影の両方を……ひとつの心として。」


その時だった。 


塔の天井の奥から、低い共鳴音が響き始めた。


ドウン…… 

ドウン…… 


レイアは息を飲む。 


「……これは……心臓の音?」


「そう。」 

ナイアが静かにうなずく。 


「コズミックハートが目覚め始めている。」 


塔の上部がゆっくりと開き、
その奥から“中心”へ続く光の道が姿を現した。