甘い飲み物は苦手
ココアにも甘みは入れない
ふだんは
お水とお白湯と
時々 紅茶と日本茶
お酒を飲みに行っても
甘くてきれいな色のカクテルやサワーは
飲めても一杯くらい
グレープフルーツやキウイなどの
生の果物を絞って飲むサワーは好きだから
お砂糖の甘みを
飲み物に感じるのが苦手みたい
だけど
『 甘い香り 』のするお酒は好き
ブランデーやバーボン、ラム
黒糖焼酎からふわりと香る甘い香りは
優しく強く
でも優しすぎることなく
その時々の心に合わせて包んでくれる
その距離感がとても好きだな
と思う
彼らみたいに
甘すぎない
ちょうどいい寄り添い方が
できるといい
わたしは少し甘すぎるから
抱きしめればいい ってものでもない
けれど 油断すると
すぐに抱きしめたくなってしまう
甘く
甘く
そうではない
そうではない
それぞれに
味わうべき大切な痛みもあるのだから
痛みを味わう自由を選んでいるのだから
甘いのは声だけで十分 …
せめてもう少し
低かったならよかったのに
チョコレートみたいに
もしもチョコレートに声があるなら
きっと甘くて柔らかくて
気品在る気怠いアルト
ああ でも
チョコレートの声もいろいろね
きっと
けれど
どのチョコレートの声も
どんなに甘ったるく
どんなに苦いチョコレートでも
高貴な優しさを含んでいるのではないかしら
チョコレートには
そう思わせる特別な何かがある
だから
あんなに欲しがったのかもしれない …
ふとそう思う
遠い記憶
『 Lindt Chocolat Cafe Ginza 』
ホットチョコレートに
洋酒の利いた濃厚なチョコレートケーキ
気絶しそうに甘い時間
…
有り得ない組み合わせの
初めて味わう
信じられない幸福
目を閉じて
ホットチョコレートを感じる
濃厚で芳醇な熱い液体が
からだじゅうに染み渡る
満たしてゆく …
そうではなく
底なしの痺れるような
甘さの海に魂ごと墜ちてゆく
これは悪魔だ と思う
甘くて優しくて危険な陶酔
夏が来るたびに 夜の川の底から
優しい声でわたしを誘う
夏の夜の大王と少し似ている
どんなに馴染もうと
気を許してはいけない
危うい甘さ
夏の夜の大王と違うのは
誘われても容易にはゆけないところ
向こうからは触れられないところ
遠くてよかった
悪魔に魅入られてはいけない
特に秋から冬にかけては
わたしにはとてもとても危険だから
゚・*:.。..。.:*・゚゚ 忘れてないよ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・