ごきげんよう風に言ってみました。
「ひょっとしたらわたしだけ?」コーナーです(いまつくりました)。
最近遅い猛暑がやってきまして、にわかにこのひとの登場がありがたく感じられるようになりました。稲川淳二です。
せんじつほとんど素通りする番組『ごきげんよう』を観たらこのひとがでていたので、
夏が来たな(しかも夏休みが半分終わったころ、甲子園が準決勝のあたりかな)
と思って感慨深く目を留めました(余談ですがそのほか、磯野キリコと美川憲一が出ているときだけ特別に目を留めます)。
そしてン十年生きてきて毎年おなじことを不思議に思うように今年もまたふたたび、おなじ疑問が頭に浮かびました。
わたしは、いつ聞いてもどこで聞いても稲川淳二がなにを喋っているのかわからない
という疑問です。
それに気がついたのは、自分が高校生くらいのころだったと思います。クラスのみんなが、
あいつってまぢこわくねー?
とか、
ねえ聞いたー?あの海のばあちゃんの話!!こわすぎて涙ちょちょ切れるー!!
とか言っているのに、
?????
と、思っていた。
わたしは彼が、「何か怖い話を喋っている」
「どうやらオチをいっている」という雰囲気を観て懸命にテレビのボリュームを上げ(たとえばいつも11くらいで観ているところを18くらいに音量をあげて)るのですがそれでも聞こえないのです。テレビの出演者たちはきゃー!とか、ひぇー!とか叫びますが、あれは生でだから聞こえるのだろうくらいに思っていました。わたしが聞こえないのは普通のことで、もしかするとテレビの前のある種のちびっこたちには聞こえない周波数で喋っているのではないかと。しかし一度、一緒に友人たちとテレビを観ていたら、観ている友人たちがみなそろいもそろって、
同じタイミングで悲鳴をあげた
のです。わたしは焦りました。
念のために言いますが、わたしはどちらかというと全体的に地獄耳タイプです。耳はかなりいいほうですし、どちらかというとふだん、テレビで芸人が早口で喋ったことを、聞き逃した人に一字一句説明してあげるタイプの人間なのです。注意していようがいなかろうが、誰かの声を聞き逃すという経験は、正直言ってほとんどありません。それなのに、あの稲川氏の声だけが聞きとれないのです。いったいなぜ??
わたしは思い切って友達に、
ねー、海のばーちゃんの話って、なんだっけ?
と、「知らないわけじゃないんだけど忘れちゃってー」という装いで聞いて見ました。
するとこともあろうに友達は、
やだー!!こわすぎてあたしの口から言いたくない!!
などとのたまりやがったのです。
わたしはその後、しかたなく「稲川淳二の怖い話」というビデオを借りてきて、一人でそれを観て、
これが海のばーちゃんか・・・・・
と、やっと真相を知ることができた次第です。
そんな辛く苦しい人生を、長いこと送ってきました。
それでもわたしはまた今年も、ごきげんように彼が出ていた三日間ずっと、彼がどんな怖い話をしているのかまったく聞くことが出来ませんでした。
・・・・・
これって、ひょっとしたら、わたしだけ???