今日昼間の番組で、デヴィ夫人、暴行疑惑?!のテロップを観た。

 

昨年の元マネージャーへの暴行のことだと思ったらまた違う人への疑惑らしい(前回は疑惑を認めて慰謝料を払ったらしいが)・・・残念ながら途中からだったので詳細は分からずじまいであったが。それにしても疑惑否定のVTRにあんな夜会服みたいなの着て来なくてもよかろうが・・・・

先週だったか、故・金総書記の祭典で北朝鮮に赴いて、ナントカ蘭の名誉会長になっただかなんだかで、情報スクランブルに緊急生出演していたが、視聴者(というか局が?)が聞きたかったであろう肝心の北朝鮮の素顔どころか、仰天発言のオンパレード。

 

あたくしテレビでずいぶん、あちらが貧しい貧しいって言うニュースを見聞きしておりましたものですから、これは、と思ってお米を五キロ(だか十キロだか)のを五十袋(だか八十袋)、用意しまして飛行機で運んだんですけれども、なんですのあちらの高官の方に渡そうとしましたらね、配給がありますのでいりませんとおっしゃられて。それであたくし、直接街中に行って民間の方に渡してきたんですのよ。

驚いたバク(大和田)が、

 

えっ、街中に出るのに、護衛とか、なにか規制のようなものは受けたわけですか。

と聞き返すと、

 

規制なんてあなたそんな、まったくありませんわよ。

あれでしょう、規制とか、そういうのは、悪意を持ったテレビの取材とか、なにか悪い報道をしようというようなよくない人間に向かって行うわけで、あたくしのような、あちらからお願いされて、友好的に呼ばれたいわばVIP待遇に、そのようなことはないわけですよ。

とおっしゃり、ほんとにどーでもいい話なんだけど、なぜか元大統領が送ったとかいう蘭の絵を嬉しそうに説明し、あっというまに出演時間は終わってしまったのだった。

 

まあ、ずいぶん以前から、このひとはいったいナニモノなんだろうという疑問が、国民のあいだでなされて久しかったわけなのだが、この期に及んでこのような無知蒙昧な人間がテレビで(バラエティだけど)あれこれお話できる状態というのに、あらためて不思議感と不快感を抱いてしまうのであった。

 

テレビに出ることと出続ける、というのは似て非なるもので、使う側ではなくて使われる側の場合それは使う側にすら知りえない、ある種、究極のワカラナサを携えている人間に限られるわけであるが、裏を返せば、あれほどわかりやすくてしかもワカラナイひとがある意味テレビを支えているのだという、悲しい現実である。一見符号はなさそうに見えて、しかしモーニング娘。も知らないし覚えられない年寄りが、郷ひろみの「♪アーチーチー」とマツケンのマツケンサンバだけはすんなり覚えられるのと似た構造をそれは呈しているのである。いってみれば、そうした「ワカラナサ」とは繰り返し語られる旋律にも似たある記号に置き換えられるからである。

などと、語られるまでもなく、あのひとはこれからさきも「デヴィ夫人」としてテレビに出続けるのであろう。スマトラ沖地震に対してなんら行動を起こさなくても、億の所得隠しをしても、事実なのに名誉毀損で相手を訴えても、永遠に彼女は「大統領夫人」であり続けられるのだから。そしてそれを許容するのは、我々である。