私の夫は管理職だ。
夫の職場では、管理職が現場に出る事を良しとされない場所らしい。
だがこの空前の人手不足の時代だ、
業者さんも部下の子達もいつだって人手は足りない。
という事で、本来職人さんや業者さんがやるべき仕事を、
現場に近いからと言う理由で夫が出向いて作業をする事が多々ある。
資格も持っているので夫が作業する事に問題はないのだが、
夫以外の管理職の人は、ほとんどそんな事をしないようだ。
ある日暗い顔で帰宅した夫は、
その日仕事先で遭遇した嫌な事を話してくれた。
内容は端折るが、とても汚い作業をしてきた夫。
本当は業者さんに頼んでいるのだが、
担当者の方が高熱を出してどうしても来られないと言う。
部下の子は結婚記念日で休日を取っていたり、
とても遠い場所に出向いていたりと忙しく、
相手方がとても困っていたので、
夫は二つ返事で僕が行きますと答えたらしい。
現場に向かい、とても汚いと世間で思われる作業をしていると、
偶然居合わせたおっさんに、こう言われたらしい。
あんた、そんなきったない仕事して、みっともないねえ。
と。
そうか、そんな事を言われたのか、
でもあんたはかっこいいし、みっともねえのはおっさんの方だろ。
そんな奴の言葉気にするほどやわだったっけ、
日本中のその仕事してる人に謝れそのおっさん。
って思うけどね。
管理職だとふんぞり返る人が多い中、
現場に出て汚い作業が当然のようにできるあんたは日本一かっこいいし、
業者さんや部下の子達にも感謝だよね。
私の分までいっぱい働いてくれてさ、
私の分まで世間の辛い風浴びてもろて、
あたしゃ幸せもんだよ、
いつもありがとね。
そんな事を言っておいた。
俺は管理職だからと、
汚いと言われている作業を夫はしなくてもいいポジションにはいる。
だがそんな態度では売り上げなど上がらない。
部下の子達はついて来ない。
業者さんも人が足らず、
中高年が現場を必死で回す日々だ。
少子化のしわ寄せは結局氷河期世代にやって来る。
それでも家族の為に黙って働く人たちを、
私はかっこいいと思う。
汚い仕事を誰かがするから、
その場所を綺麗に使えるのだと言う事を、
そのおっさんに言ってやりたいものだが、
社名の入った制服を着た夫は、
とても爽やかに、そうですね、と笑顔で答えただろう。
どこかに買い物に行くと、
トイレ掃除をしてくれる女性が必ずいる。
いつも声に出してお掃除ありがとうございますと言って使わせてもらう。
それがいい事なのか迷惑な事なのかは分からないが、
そう思うから言うのだ。
私にはトイレ掃除を仕事に出来る健康すら持ち合わせていない。
レジの人、掃除の人、色んな人が働いてくれるから、
世の中で気持ち良く生活できるのだ。
有難い事この上ない。
話が逸れたが(いつもの事)、
私の夫はとてもかっこいいのだった。





