【煩悩を手放すほどのこともない】
そもそも
手放すも何も
この世界に
個人の為に用意されたものなんて
ありません

肉体とか
心とか
命とか
それくらいは「自分のもの」だって
言うかもしれません

でもほんとにそうでしょうか?
肉体

「お母さん」になった人
団体戦のスポーツを頑張っている人
誰かの為に健康でいたいって思える人
簡単に我を超えて
自分の肉体を変えてしまいます

心

自分の為だけにあるのなら
感化されることも
人の言葉に傷つくことも
誰かの想いに寄り添うことも
共感を求める事も
必要ないのに
見知らぬ人の為にすら
悲しんだり
喜んだりする
誰も求めていなくても

命

これは最たるもので
予期せず与えられ
予期せず終わりを告げられる

自分のもの!
そう思いたいのは
それはそれが
あまりに儚くて
あまりに頼りなくて
あまりに移ろいやすく
だけど
奇跡的に
キレイだからだと思います

手放すまでもない
そもそも自分のものではない
誰にも所有することが不可能な
その宝石を
大事にしたい

そんなことを
この年の瀬には
思います

水上 宙