【不安との付き合いかた】
まっくらな闇の中で
自分の居場所すら
分からない時
不安という言葉に支配される
明かりを探しても見つからない
そんな時は
不安を満喫しよう
まずは状態を確かめる
体がこわばってる
爪を噛んでる
手が震えてる
そして気持ちを確かめる
逃げ出したい
思考がまとまらない
大声で泣きたい
どうやら本当に不安らしい、と納得する
冷静に不安の中に浸る
闇の濃さに目を凝らして
本当に明かりが無いのか
確かめる
明かりが無いことを納得したら
目を瞑る
そして錯覚させる
目を瞑っているから暗いのだと
いや、そうじゃない
暗い箱の中にいるのだ、と
いつの間に入り込んだのだろう
けれど
箱は本当は薄い紙で出来ていて
外は太陽が輝いている、と
自分が
不思議の国の大きくなるキノコを食べた
アリスだと思い込む
どんどん巨大化して
紙で出来た箱を突き破る
できるだけ派手に
できるだけ滑稽に
そして目を開ける
箱は壊した
箱は壊れたんだ
コツを掴むまで繰りす
無視できる小さな不安の時にも
練習のために試してみる
そして
確信する
何度でも
箱は壊せる
水上 宙