朱戸アオ先生の『ネメシスの杖』をネットコミックで拝見しました。
画ははっきり言って私好みではなかったのですが、どんどん進んでいくスピード感のあるストーリーで、どんどん引き込まれました。
タイトルから神話的なイメージを抱きました。だって、ネメシスですものね。ギリシャ神話の女神ですよ。
ネメシスの語源は義憤であると言われています。このお話は、娘をトリパノソーマ原虫の感染によるシャーガス病で亡くしたにも関わらずある隠蔽工作によって感染症患者だったと認定されなかった父親が、それに関わった人間を同じ病気にさせていく(感染させていく)という事件が根本にあります。父親は隠蔽を目論んだ人間に憤りを覚え犯行に及んだのです。要はこの犯行の動機が『ネメシス』にあたるのですね。
そして、トリパノソーマ・クルーズという原虫は杖のような形をしていますので、このタイトルになったわけですな。
このお話はバイオテロを解決する厚労省のPSC(患者安全委員会)に所属する女性・安里怜と、寄生虫好きの専門家・紐倉の話です。一応なんちゃって医療従事者なので、そういうのは大好物です。
刑事物好きな人にもオススメ。
安里は正義感溢れるあまり突っ走ることの多い危なっかしい感じ。でも憎めない。
紐倉は、かつて人を殺した友人に右腕を天国に持っていかれ、義手のリハビリ中の天才科学者。その影で幻肢痛と自分の弱さに苦しむ繊細な男性。
安里と紐倉のラブストーリーになるかと思えばぜんぜんそんなこともなく、ただの戦友的な感じで終わるのですが、そこが現実感あって良い感じです。
自作が紐倉がメインとなる『インハンド』という作品のようで、『ネメシスの杖』が思いの外よかったので『インハンド』は紙面で購入したいと思っております。
今月は購入予定コミックが多いので、少し先になるかな?
