激しく痛まないおなかを疑問に感じながらも、
何時間もトイレに行っていなかったことを思い出し、
私は今のうちに用をたしておこうと
病室にセットしておいてもらったポータブルに行こうとした。
夕方、陣痛が始まってから
はじめてベッドから起き上がった。
その瞬間、
なまあたたかいものがドッと膣を流れるのを感じた。
「出産前にねばねばした血みたいなのが出るよ」
と看護師さんに聞いていたので、
これが出産前の合図だと
すぐに分かった。
そしてさらに体を動かしたそのとき
つるんつるんと二回に分けて、
体のなかを
不思議な何かが通り抜けていくような感覚を覚えた。
出産だった。
8月19日、午前2時30分。
大空が生まれた。
産声をあげることはなかったが、
へその緒が
私と大空とをしっかりつないでいてくれたことが
実感できた。
指先ほどの
大空の小さな小さな両足が見えた。
黒みがかったむらさきいろ。
私たちの赤ちゃん。