雲上快晴

雲上快晴

サーファーパイロットの、暇つぶしのブログです。

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前回の続き。
飛行計画編はこれが最後です。


6、積載物の安全性

搭載予定のものの安全性を確認します。

原則として火薬、高圧ガス、引火性液体等の輸送の禁止が航空法によって定められています。
また日本の航空法には、他の国にない特徴があります。凶器の輸送が禁止されていることです。

ここで「原則として」と書いたのは、基準を満たせば一定の条件の下で航空機により輸送することができます。これは告示により定められております。これも組織として確認をしており、貨物でしたら基準に沿って安全確認されたものが搭載されていることを機長が最終的に確認します。



以上、5回に渡りましたが出発前に機長はこのように安全確認を行います。

そして状況に応じた最適な計画を立案し、運航管理者と機長の相互の承認のもとに飛行計画が策定されます。




その上で、必要なコーディネート、マネジメントを行うのも機長の役割です。

エアラインの運航では、整備や客室、貨物担当やグランドハンドリングといった多くのセクションが一つの便が出発するのに関わります。
最終的に運航の責任を負うのは当該便の機長であり、何か便の運航方針に決断を下した場合はそれに沿って周囲を動かしていく必要があります。

この先はまた続回…

続き…

 
⑤燃料、滑油の搭載量、品質
 
燃料量は前述の気象状況や航空情報、はたまた飛行機の整備状況や機体ごとの燃料消費の特性を考慮して決定します。
 
「燃料の一滴は血の一滴」
 
ということばがある程、飛行機に取って燃料量は重要です。
なぜなら、
「搭載している燃料の量=飛行機が飛んでいられる時間」
になるからです。
 
上空で飛行機は止まれない為、ここでの量は非常に大事です。
 
長距離国際線を飛ぶB777やB787、A350等の双発機(エンジンが2つの飛行機)では、太平洋上空で何かトラブルがあって、すぐに降りられる空港がない状況でも、所定の時間以内に空港にたどり着けるように考慮した量が搭載されます。
 
滑油(オイル)の搭載量は、エンジンオイル量等、必要な量が入っていなければエンジンの運転に支障を及ぼす可能性があるのはお分かりいただけると思います。
 
しかし、航空法によって定められている「品質」については、エアラインの運航では機長が飛行ごとに確認していたらとんでもない時間がかかります。
そこで、組織として確認し、その確認が手順に従ってきちんと実施されていることを機長が確認します。
 
給油中の航空機。
 
次回は引き続き出発前の確認…
前回の続き…



3.航空情報

航空情報には恒久的なもの、一時的なもの等あります。

身近なもので考えると、、、
例えば都心の夜景を思い浮かべれば、高い建物に点滅する赤い光が必ずあります。
あの赤い光の正体は「航空障害灯」です。
夜間に飛行する航空機に対して、障害物がそこにあることを示しています。
その光が万が一何らかの故障や玉切れ等で光らなくなってしまえば、その位置、高さ等が「航空情報」としてパイロットに周知されます。

その他、空港の工事や一時的な滑走路の閉鎖等があります。



4.気象情報


刻々と変化する天気の中を航空機は飛行するので、気象情報は大事です。
まずは気象状況が飛行に適したものかを判断する必要があります。

空港の気象で言えば風向風速、視程(見通せる距離)、雲の高さ等です。

風向風速はそれぞれの航空機の型式(ボーイング747やエアバス350等)、航空会社によって制限が異なります。また、滑走路の路面状況が乾いているか、はたまた雪で非常に滑りやすい状況か等によっても異なります。

視程は、霧等が出ていて非常に視界が悪い状況にあると離陸、着陸ができなくなります。エアラインが運航するIFR(計器飛行方式)という飛行方式では、航空機や地上施設、管制等の技術の進化によりある程度の悪化までは飛行することができますが、やはり何も見えない中で運航することはできません。その為、何メートル(国によってはマイル)まで視程があるかという基準でデジタルに判断します。

雲の高さは低すぎると着陸時に滑走路を視認することができません。この高さと雲量によってこれもデジタルに判断します。

その他就航の可否に関わる気象条件は竜巻等の風の変化、強い乱気流等が空港の近くにあることも影響してきます。

出発地と目的地の空港が離陸、着陸に適している気象状況でしたら、万が一目的地空港が飛行中になにかの影響で滑走路閉鎖になった時のために、代替飛行場を選びます。


空港の天気が就航可能でしたら、飛行経路の気象状況も重要です。

日本の空は世界でも最も変化の激しいエリアです。
春は温帯低気圧が発達し、爆弾低気圧が通過したり、梅雨になると停滞前線が長く居座ることになります。
夏は湿った空気の影響で積乱雲が出来やすいですし、台風も来ます。
秋は秋雨前線や台風。
冬は上空のジェット気流が強くなり、風の変化による晴天乱気流(クリアエアタービュランスと呼ばれ、雲の揺れなどと違って目に見えない乱気流です)や山岳波という、山の風下に入ると大きく揺れる乱気流もあります。雪も降ります。

その日の気象状況を正確に把握、予測した上で最も安全で快適、かつ定時に運航し、効率的な高度と経路を選択するわけです。

燃料量は積めれば積むだけ上空にいられる時間も長くなり、安全性も増します。(極端な積みすぎは返って不安全にもなりますが)
しかし、エアラインで飛んでいる以上はコストも考えなくてはなりません。重量が増すほど燃費は悪くなるので、状況に応じた燃料量を決定します。

例えば、上空のジェット気流が強い冬場のフライトを想定します。

東京から福岡行きだったとして、
①高度40000ftを飛ぶと燃費は少なくて気流もよい。ただし定時は守れない。
②高度30000ftで飛ぶと燃費はかかるけど少し揺れが入る。ただし定時に到着できる。
このどちらを選択するか、というような判断をしていきます。

もちろん実際の運航は状況は刻々と変化しますので、選択肢を多数持って運航にあたります。
この場合、①を選択したとしても出発で予想外の遅れになった場合は定時を多少でも取り戻すべく②でも飛べる燃料量を積む、等の判断を飛行前に計画していきます。

その後は実際の状況に応じて変えていけばいいわけですが、飛行前の気象解析が大変重要になってくるわけです。

その他大きな積乱雲が経路上にあるときは迂回経路を選択したりします。

その他燃料を搭載する理由は多々ありますが、気象は大きく影響するもののひとつです。

飛行機は一旦飛んでしまうと、降りるまでは途中で止まって考えたり給油をしたりすることができないので、ここの計画は非常に大事です。


前回の飛行計画編の続き…

 

2.性能

航空法上の文言を正確に記載すると、「離陸重量、着陸重量、重心位置及び重量分布」になります。

 

「離陸重量」について言えば、様々な考慮すべきものがありますが、たとえば飛行機は長さに限りがある滑走路から離陸することになります。

どこまでも限りなく続く滑走路からの離陸、かつ周りに障害物が何もないところであれば離陸重量が問題になることはありません。

しかしながら実際には有限の長さの滑走路から、障害物に向かって離陸していくことになります。

(たとえば、羽田空港で言えばC滑走路からの北側に向かっての離陸であれば滑走路の長さは3360m、滑走路の向こう側には東京のビル群があります。)

であれば、この滑走路の中で離陸できて尚且つ障害物をクリアできる重量で離陸しなくてはなりません。

 

実際にはエンジンの個数によっても異なってきますが、現在主流のエンジンが2つ付いたエアラインの航空機であれば

・離陸滑走を開始して、エンジンが片方壊れたときに滑走路内で停止できること。

・片方壊れてもそのまま離陸して、障害物をクリアできること。

・エンジンが正常作動していても停止できること。(これには余裕を加えて計算します)

が必要です。

 

これを満足する為に、予めお客様の人数、搭載貨物、搭載予定の燃料量等を考慮して計算します。

エンジンには出力が低いほど優しい為、これを満足できる出力、フラップの角度を決定します。

あいにく性能が厳しい場合には重量を調整する必要が出てきます。

 

離陸重量の他にも、勿論「着陸重量」も重要です。

限られた長さの滑走路で停止できなくてはなりません。


その他「重心位置」については、飛行機はバランスを保たなければならないので制限域がきまっています。

この制限に重心位置があることを確認し、それに応じた操縦装置の調整を実施します。




長距離国際線の航空機は座席数が国内線に比べて少なくなっていますが、実はひとつはこの「重量」の影響です。

座席数を少なくすることにより、より多くの燃料搭載を可能にして長距離の飛行を可能にしています。


 続きはまた後日…




 

前回の事前準備に続き、今回は飛行計画です。

 
航空法第73条の2、並びに航空法施行規則第164条の15に「機長の出発前の確認事項」が記されています。
これに沿って機長は確認を実施します。
 
また、エアラインの運航は機長独断でこれを全て決定することができません。
航空法第77条により運航管理者の承認が必要であることが記されています。
 
これに従って飛行計画を練っていくことになりますが、この流れは航空会社ごとにシステム化されており、これに従って作業を進めていくと必然的に航空法で決められた全ての確認事項を網羅することになります。
 
確認事項は航空法で定められているものは以下の通りです。
 
1. 機体の整備状況
2. 性能
3. 航空情報
4. 気象情報
5. 燃料や各種オイル等の搭載量や品質
6. 積載物の安全性


1.機体の整備状況

エアラインではこれを機長ひとりで確認することは実質不可能なので、組織で確認しています。
具体的には整備された時点から不具合がなく、決められた通りに前の便まで運用されていることを以て機体の安全性は担保されています。
この事を、「耐空性が維持されている」と言います。
不具合があれば便間などで整備することになります。
しかし、小さい不具合でもひとつひとつ全て整備していたのでは定時性や就航率に影響を及ぼし利便性を損なうことになります。
そこでボーイングやエアバス等の航空機メーカーによって決められた「この不具合であれば、条件付きで定められた期間までだったら持ち越ししてもよい」という基準に従って持ち越しができます。
例えばライトの玉切れ等です。
ライトの玉切れと言ってもバカにできません。過去の事例では、パイロットが玉切れの修復に上空で掛かり切りになっている間に機体が障害物に激突、墜落した事例もあるのです。
したがってこれを適用する為には詳細な手順が定められており、確認に確認を重ねて持ち越しをします。

その他整備状況の確認として飛行前の外部点検、航空機の作動点検、発動機の試運転等が航空法によって定められています。


外部点検は、空港のターミナルからでもパイロットが飛行機の周囲を点検している姿を見ることができます。
写真では、パイロットが前輪部分を点検しています。


作動点検、発動機の試運転については、国土交通省から認可を受けた各航空会社の定められた手順に従って飛行機を動かすことにより確認されます。

思いの外、整備状況に熱がこもり長くなってしまったので続きはまた後日…