ある哲学者はこう定義している。
感性・・・「悟性的な認識の基板 を構成する感覚的直感表象を受容する能力。」
カントは現代人が徐々に失いかけているものはまさにこの能力だと考えている。
太陽の日差しが優しい。そう感じるのは、お盆を過ぎたからだろうか。札幌の夏は涼しくて、心地よくて、なんだか甘えたくなる。
朝から決まったことは何もすることがなかったが、平日溜まった洗濯物、洗物をみると綺麗に片付けたくなる。朝から一気にごそごそやって、ついでに掃除をして、お風呂でゆっくりして…なんてしていると気がつくと昼過ぎ。昨晩の付き合い酒が残っているからご飯はいらない。コウは息を吐き、小さく「よし」と呟き行動を開始した。デジタルカメラとiPhoneを茶色いショルダーバックにしまい、右肩にかけながらゆっくり立ち上がる。そして、無造作に置いてある白い大きなヘッドホンを拾い上げ、丁度ショルダーバックの紐の部分にひっかけた。部屋のドアノブに手をかける。
耳をすっぽりヘッドホンで覆いかぶせると視覚だけのちょうどいい閉塞世界になる。
ゆっくり亀のように自転車を漕ぎ、聞こえてくる歌詞をに合わせて、口ずさむ。音楽を聴きながら自転車に乗って風を切っていると自分の世界に閉じこもれる気がする。どこに行くわけでもなく何をする訳でもない。出発点、終着点は自宅だし戻ってくるだけの自転車ぶらり旅だ