真っ白な髪に、淡い青色のグラデーション。
それが私たち、魔女の一家の特徴だった。
美しい、絶世の美女、そういわれることは多々あったけれど、
私はこの目立つ髪が気に入らなかった。
自らが魔女であることを出歩くだけで示してしまう、この髪が。
この髪のせいで何度嫌なことにあったか・・・
町の人からは魔女だと怖がられ、
友達なんて出来はしなかった。
できたとしても、すぐに大人たちのせいでいなくなってしまう。
「どうすればいいのかしら・・・・」
俯きながら、小石を蹴り、
紺色のワンピースのレースを風に揺らしながら歩いている自分。
周りから見たらどう映っているんだろうかと、気にはなるけど気にはしない。
ふと小石がコツンと何かに当たり跳ね返る。
それに気づき私も顔を上げた。
少年らしきものがうずくまっていた。
服の上からでもわかるほど全身につけられた傷を隠すように。
「・・・どうしたの?」
「!」
話しかけると、少年は驚いたのかビクッと跳ね上がり、涙目になりながら私から距離をとる。
「ひっ・・・やだっ・・・・もういいでしょ?もう蹴ったりしないでっ・・・・」
涙目のまま目に見えるほどに震えている。声も、身も。
何故かはわからない、ただわかることは、私と同じで嫌われている事。
確信は持てないけれど、なんとなく、そう思った。
「・・・大丈夫。私は、何もしないわ。貴方私と似てるもの」
「・・・・ふぇ?・・・お姉・・・さん?」
不思議そうに見つめる彼。
なぜかその視線はとても近く感じた。
「あ、あの・・・・・離し・・・離して欲しいんだけど・・・・・」
「え・・・・・?あ・・・」
一瞬何のことだと思うも、下を見るとすぐ気づいた。
私は無意識のうちに彼を抱きしめていたらしい。
慌てて離れ、苦笑いを浮かべる。
何をしているんだろう私は。
見ず知らずの少年を抱きしめるだなんて。
「お姉さんは・・・怖くないの?僕の事・・・・」
「え?えぇ、怖くないわよ?なんで?」
「・・・みんな、怖がるんだ。僕はただ蛇と話してるだけなのに・・・・動物と話すって・・・おかしい事?」
潤んだ目で私を見ている彼。
彼の言ってる話に偽りはないようだけれど
それが本当に、動物なのかどうか。
動物であれば別に問題ない。
でも、それだけでこんなに傷つけらるはずがない。
それは、動物の形をした何かなんじゃないか、
もしかしたらそれは人に見えないような
呪いか何かなんじゃないかと私は判断した。
「・・・お姉さん?」
私の沈黙に疑問を感じたのか、彼は首をかしげた。
「・・・なんでもないわ、大丈夫よ。貴方、両親は?」
「・・・いない。流行病で・・・・父さんも母さんも・・・いなくなったから」
俯く彼。
それを心配するように群がる黒い蛇。
いや、これは
この感じは前にも見たことがある。
呪い、それに接触した時のような感覚。
やはり、これは・・・・
「呪い・・・」
「へ?」
・・・しまった。あまりの驚きに声に出してしまった。
しかも運悪く聞かれてしまった。
恐る恐る彼の顔を覗き込む。
最悪、呪いの暴走も覚悟はしていた。
だけど、
だけど彼は
「そっか・・・・呪いか、呪いだったのか・・・・・。ならそれが見えるお姉さんって」
絶望する様子もなく
怖がる様子もなく
ただ、なぜか微笑んでいた。
「・・・お姉さん、魔女なの?」
その笑みに私はゾクリとする。
もちろん、正体を見破られたことにも。
「・・・そうよ、魔女。魔女よ。怖いかしら?」
「いやいや・・・全く。僕と同じって事だから・・・いいよ、怖くない」
呪いとわかった瞬間から、彼の様子は一気に変わった。
ずっと不気味な笑みを浮かべ、
怯えていた彼が嘘のようだった。
その変わりように、私は焦るばかりだった。
それ以上に、
さっきの怯えた彼ならまだしも
こんな彼をこの場所に放っておいていいのか
そういう疑問が芽生えた。
「貴方・・・呪いをどう思っているの?」
私は質問を持ちかける。
この質問の答えによっては
この世ではない場所に連れて行かないといけなくなるかもしれない。
「・・・親友だよ。親友」
ゾクリとした、寒気を感じた。
少し前にも聞いた言葉にゾクリとした。
呪いを、親友と言う彼は、私の幼馴染にそっくりだった。
放っておけない、もう放っておいてはならない。
会ってまだ30分も経たぬうちに魔女としての仕事を
見ず知らずの少年に行うようになるとは思いもよらなかったけれど。
「・・・・貴方、名前は?」
「・・・ヴェリル。ヴェリル・フェルクロイドだよ、お姉さん」
微笑んで彼は言う。
「ヴェリル、貴方、魔界って知ってるかしら」
「魔界?それってあれ?あの、悪魔とか住んでる世界?」
「そうよ。貴方は、そこに行ってもらわなくてはいけないわ、きっと」
彼は目を丸くする。
でも、すぐに笑みが戻り
突如笑いだした。
「・・・・魔界、ねぇ。嬉しいよ、僕やっと今までの日々から解放されるって事でしょ?それに、魔界なら呪いなんて当たり前でしょ?理解者がいるって訳だ・・・ハハッ・・・そっか・・・魔界かぁ・・・」
動じない。
普通の人なら魔界の存在さえ信じないのに。
彼は信じ、
そして、いけることを喜んでいる。
「・・・説得の必要はなさそうね。」
「あぁ、喜んでいかせてもらうよ・・・・その代わり、新しい名前が欲しい。今の僕とは違う・・・いい名前」
「名前?」
「うん、名前」
名前・・・・。
突然そんなことを言われても思いつかない。
必死に考え、
15分を費やしたところでやっと思いついた。
「フェブリアル・・・・・フェブリアル・スノーデン。どう?」
「・・・フェブリアル・・・・うん、気にいった」
嬉しそうに微笑む彼。
しかし、彼に与えた名前は幼馴染の名に似ていた。
無意識のうちなんだろうけど、
彼を重ねていた。
彼と同じ運命をたどってしまうこの少年を
どうにかできないかと悩んだ。
同じにはしたくなかった。
悲惨な運命をたどらせたくなかった。
「・・・ねぇ、私も、一緒に魔界に行くわ」
・・・本来、私はこの町に居場所をなくしていた。
ならいっそ、一緒に行ってしまおうか。
そう思えてきた。
しかし、私のような魔女は
元々悪魔に憑りつかれている悪魔憑きと呼ばれる者。
だから、魔界に行ってしまえば悪魔になってしまう場合がある。
でも、そんなの関係なかった。
悪魔になるのは怖いけれど
彼を一人にするよりはましだと、そう思えた。
「お姉さんも・・・・・・?僕はいいけど、お姉さん、名前は・・・?」
「・・・フェレンツェル。フェレンツェル・アーテリオスよ、フェブリアル君」
「フェレンツェル・・・・フェレンさん・・・・・会ってまだ1時間しかたっていないけれど、貴女に会えてよかったと僕は思うよ」
「えぇ。そうね・・・・」
嬉しそう。
とても嬉しそうだった。
1時間しか経っていない、確かにそうだ。
でもいい。
私は決めた。
魔女としての仕事はこれで最後だ。
きっと。
フッと目を閉じ、意識を集中させ
魔界への扉を造りだす。
そして私たちは
互いに離れてしまわぬよう
しっかりと手を掴みながら
何の迷いもなくその場に足を踏み入れた。
・・・・これが、私。
上級悪魔フェレンツェルの始まりと、呪い売りフェブリアルの出会いであり始まりのお話。
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久々に小説書くとざっついですね!
フェレンとフェブリアルの話書きたかっただけなんです。
また時間があればフェブリアル視点も((
ではでは
最後にフェレンとフェブリアル幼少期を載せて

good-bye!