彼女の新居は都心から離れているが、通勤にはアクセスのよい街らしい。

今日、引っ越しが終わり、狭いながらも、落ち着ける部屋に仕上げた様子。

彼女の部屋は入ったことはない。でも、彼女のセンス、細やかさだ、きっと整っていて、落ち着ける雰囲気だろうな・・

彼女からのメールだけが、俺と彼女のつながり・・

いまは、それだけでいい。

都会に疲れたら、俺を思い出し会いたいと思ってくれたら、どこまでも飛んでいく。

それでいい。
プロポーズへの返事、yesでもなく、限りなくnoに似た、わかりきっていたこと・・

彼女は彼女でもがいていた。
桜の蕾が膨らむ頃、彼女はひとつの勇気をもち、行動をおこしていた。

彼女にとって決して忘れられぬ存在・・彼は大阪にいる。
その彼に『キミとの将来は描けない』そう告げられ、彼女の幸せな日々は2年前に砕けた。

彼女は大阪の彼をいまでも心のすべてで愛し続けてる。
決して幸せになれないと、結ばれないとわかっていても、そして、俺の限りない愛情がどれだけ深いかを知りながらも、自分自身に正直に、素直に生きていきたいと。。。

彼女は思いを彼に告げた。
答えはでなかった。
それでも彼女は振り向くことなく前に進む決心をした。

俺のプロポーズは彼女の変わらぬ彼への想いの前では、なんの意味ももたない。
それはわかっていた。わかっていたし、それでもいいとさえ思った。

でも、この心の闇はなんだろう・・俺は彼女を愛している。
いまでも、これからも。

彼女は俺にこう言った。
ありがとう、と。

彼女はつながりを断とうとはしなかった。
彼女は繊細だ。光り輝くガラスのように、美しくもあり、脆くもある。

俺は彼女を愛し続ける。
これまでよりも深く。
そして、我が想いは封印し、彼女の寂しさを埋める存在として彼女を励ましていこう、そう決心した。

明日からスタートだ。

愛されるより、愛することが男の本分だ、いまはそう強く思う。
大きな決断だった。
プロポーズしたことではない。
幸せになるんだよ、おまえが幸せになれたとき、俺も幸せになれるんだから。。
好きな人を思いつづけ、きっといつかその人におまえの愛は通じる・・そう、彼女に言い続けてきた。

嘘だ。

本当は、俺のこの手で、この身体で、この心で、必ず俺が幸せにしてやる、それが俺の本心だった。

でも、微妙でも、いまの関係を続ければ、ずっと彼女をみていられる。プロポーズすれば彼女は答えをださなきゃならない、その答えはわかりきっていた、だから言わなかった。

最愛の人へ永遠に会えなくなるとしても、俺は玉砕覚悟でプロポーズした。

自分、そして、彼女を信じて。