卒業生ブログリレー第3回(小森谷隼さん) | 上智大学ピアノの会

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こんにちは!上智大学ピアノの会です音譜


4年生の門出の折に、ピアノの会の思い出を綴ったブログを回す「卒業生ブログリレー」を本日も連載しています。

第3回は 小森谷 隼 さんですビックリマーク

 

 

 

 皆に倣って、自分とピアノの会の思い出でも語ります。つまらない身の上話などだらだらと書くのでお暇な方だけついて来られますよう。

 

 私は6歳ごろからピアノを習い始め、それはかなり上等な教育を受けさせてもらった。週一で優秀な先生に教えを受け、年に2回発表会に出させてもらい、コンクールもいくつか受けた。中学3年の時にグレて辞めるまでは、曲がりなりにも真面目に取り組んでいたと思う。グレて、と書いたが、辞めるに至った理由は他にも、音楽家である両親の道の後を辿る自信がないとか、細かい練習が嫌いだとか、本番であまりに緊張してしまうとか様々あるが、要は「強制されるピアノ」が嫌になったのだろう。そこからはピアノを一音も鳴らさないような状態が、何年も続いた。

 大学に入っていろんなことが落ち着き出したくらいの時、思い出したように家のピアノを弾き始めた。そこからは親にも、先生にも、楽譜にも縛られない、ただただ自分の好きにピアノを弾く快楽に浸った。私の「ピアノ熱」が戻った瞬間だった。それはそれは楽しいひと時だったが、数ヶ月もすると何かが足りないと思い始める。なんの呪縛か、昔のように発表の場でピアノを弾きたいと思ってしまったのだ。あんなに恐ろしい、一歩間違えれば奈落の底に落ちるような空間に再び自ら足を踏み入れようとするなんて常軌を逸している。これは一種の洗脳にも近いかもしれない。

 

 そして大学3年生の時、上智大学ピアノの会の定期演奏会をなんの気無しに聴きに行って、その場で入会を決めた。入ってみれば、そこには私の求めていたものがあった。好きなピアニストの話で盛り上がれる友人ができたことも嬉しかったが、何より演奏会という存在によって自分が封じ込めていた経験と感情が呼び起こされた。演奏会で何の曲を弾くか考えること、作曲家がその曲をなぜ、どうやって作ったのか調べること、楽譜を隅から隅まで読み込むこと、ありとあらゆる工夫を凝らして練習すること、死ぬほど緊張しながらステージに上がること、弾き終わった後に爽快感と達成感を感じること。自分にとってはこの全てが、ピアノの会に入って発表の場を与えられなければできなかったことだ。本当にありがたいことだと思う。ピアニストである母が「こんな機会、私だって羨ましいよ」と言ったのが印象的だった。そんな貴重な機会を一回一回大切にしたいと思い、ここまでやってきた。訳あってもう少しばかりピアノの会に居残るが、その想いはこれからも変わらない。

 

        小森谷 隼