「そして」を使わないということ | マザーズ・ソフィア学習館 塾長Blog

マザーズ・ソフィア学習館 塾長Blog

仙台の学習塾兼カルチャースクール「マザーズ・ソフィア学習館」塾長の考えやアドバイス、他愛もない独り言を集めました。

今日は、マザーズ・ソフィア学習館の新しいチラシ300枚を、黒松公団住宅の皆様にお届けしてきました。
近頃では、秋晴れの日は柔らかな陽射しが暖かくて心地良いですが、時折吹きつける風に身震いすることも少なくありません。
季節が徐々に晩秋に向かっていることを肌で感じます。





先日、ブログで文章を書くことについて取り上げましたが、そうは言っても、どう書けばいいのかわからないという声が聞かれました。
塾長自身、文章の専門家というわけではありませんが、これまで自分が文章を書いた際にいただいたアドバイスをひとつご紹介しようと思います。

塾長は昨年まで大学院生でしたが、大学院の博士課程に進学すると、学会誌に論文を投稿することが当面の課題となります。
学会誌とは、日本○○学会や東北○○学会といった学会が編集・発行している雑誌で、学会の会員が投稿した論文や、学会が依頼して書いてもらった論文などが載っているものです。
大学院生は、自分の研究が一区切りついたところでその成果を論文としてまとめ、学会誌に掲載してもらい、同じ関心を持っている人たちと議論することをひとつの目標としています。

塾長も、何度か学会に論文を投稿しましたが、投稿すれば必ず掲載してもらえるというものではありません。
「査読」と呼ばれる審査があり、この審査を通過しないと掲載してもらうことはできません。
この査読とは、学会が2名の大学の先生に論文の審査を依頼し、その論文が掲載に値するか、あるいはどういう修正をすれば掲載することができるのかを判断してもらう仕組みです。
査読は無記名で行われるので、査読者の先生も誰の論文を審査しているのかわかりませんし、投稿者も誰に査読してもらったのかはわかりません。

ある日、塾長は送られてきた査読コメントをドキドキしながら読んでいました。
そのなかに、とても印象的なコメントがありました。
それは、<「そして」という接続詞を使うのはやめなさい>というものでした。

「そして」という言葉は、とても便利な言葉です。
というのも、前の文章と後の文章との関係にかかわらず、結びつけることができるからです。
たとえば、次の2つの文章を比べてみましょう。

「私は一生懸命練習しました。そして、試合に勝ちました。」
「私は一生懸命練習しました。そして、試合に負けました。」

どちらの文章も、特段おかしいということはありません。
ただし、どちらかといえば、下の文章には違和感を覚える人もいるでしょう。

「私は一生懸命練習しました。だから、試合に勝ちました。」
「私は一生懸命練習しました。ところが、試合に負けました。」

このように「そして」を別の言葉に置き換えてみると、文章と文章の関係がよりハッキリとします。
塾長にコメントをくれた査読者の先生は、塾長が文章同士の関係を十分に意識せず、なんとなく「そして」でつないでしまうことで、文全体が読みにくくなっていることを教えてくれたのでした。

それ以来、塾長は文章を書くとき、「そして」を使うことをやめました。
「そして」を禁止してみると、次の文章に移ろうと思った時、前の文章との関係を嫌でも意識するようになりました。
「つまり」なのか「けれども」なのか、「しかも」なのか「また」なのか。
そんなことを考えながら文章を書いてみると、初めのうちは時間がかかりますが、それまでよりもずっと自分の考えをハッキリとわかりやすく伝えることが出来るようになりました。

皆さんも文章を書いていて「そして」と書きたくなった時、この「そして」を別の言葉に置き換えてみたらなんだろうかと考えてみてください。
文章を書くことが、もっと楽しくなるかもしれませんよ。