中学に入り、

貧血で倒れたり
吐いたりすることは、

殆どなくなった。




加減を知ったからだ。



小学生の頃は
何でも100%全力投球。



手を抜くということが
わからなかった。



でも中学生にもなると
周りの空気は読めるし、


やらなくていいことも
わかるようになる。


一生懸命やってる振りして
手を抜く。




要領の良さは
この頃に培われたのだと思う。




倒れなくなったのはいいが、
別の問題が出てきた。



それは生理痛。





私は20代で腹腔鏡手術するまで
ずっと生理痛に苦しめられてきたが、

始まりは中2からだった。



授業中、
突然痛くて我慢出来なくなる。


でも恥ずかしくて言い出せず
しばらくはじっと耐える。


だんだんと脂汗が出て
意識が遠のいてくる。




そして
最後は机に突っ伏すか、
椅子の下に崩れ落ちる。



そして、
保健室に運び込まれるのだ。




しばらく
ベッドで寝かせて貰え、


瓶の湯タンポで
お腹を温めてくれるのが
とても気持ち良かった。





でも保健の先生は
生理痛だとわかると、


“病気じゃないんだから”

といった態度に変わっていった。





それが毎月になると
扱いがどんどん悪くなる。




“女性はみんなそうなのよ”。
みんな我慢してるのよ


と言われるようになった。




あまりの激痛で
ベッドの上でのたうち回った時は、


母親が呼ばれて
早退を繰り返した。





母もだんだん
怒るようになっていった。



“お母さんも生理痛酷かったけど
じっと耐えたわよ。

女性はみんなそうなんだから
あなたも慣れなさい。”



そう言われて
自分は根性なしなんだと
哀しくなった。



祖父母の介護で
大変な母を煩わせるのが
辛かった。





だから出来る限り
自分で対処するようになった。




どうやら温めると痛みが和らぐと
わかったので、


こっそり家のホッカイロを
持ち出した。




痛くなると、

トイレや、
誰も来ない踊り場で
じっとしゃがんで耐えた。




だんだんそれが普通になり、
痛みに強くなっていった。




“大丈夫?”
と言われると


大丈夫じゃなくても、


“大丈夫!”
と言うようになった。




人を頼らない性格は
この頃に形成されたのか。



耐えたからといって
生理痛がなくなる訳ではない。




でも表面的には
生理痛はなくなったと思われた。




中3では
保健室には一度も行かなかった。




“もう大丈夫なの?”
と会うたびに聞く保健の先生に



「もう大丈夫だから!」

と答え続けた。




だけど大丈夫じゃなかった。



ますます酷くなる痛みに
踊り場でのたうち回ったこともある。




友達は知っていたけど、
私に口止めされて黙ってくれた。


そして休み時間中
ずっと背中を撫でてくれた。





先生や親は

「みんな生理痛を耐えてるんだから」


と言った。





その時の自分は
それを信じて耐えた。



耐えるしかなかった。