かすかなタイミング | デペイズマンの蜃気楼

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日々の想った事、出会い、出来事などなどをエッセイのように綴りたいなと。
時折偏見を乱心のように無心に語ります。

アボジに聞いた話なので、細かい細かい状況は不明。

うちの家は二軒連なりの長屋形式で、間に路地があって、裏が全てを繋ぐ三尺幅ほどの通りがある。
通りは地主一族らしき家の壁に沿っていて
まぁ、Tポイントカードのような形だ。
通りには少し深い長い溝がある。
うちの家は、来たことのある人はわかって頂けると思うが、トイレが家の角にあたる部分にあって、裏通りのTポイントカードの縦線と横線の角になる。
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昨日お昼過ぎにアボジがトイレに入ると。
か細い声で

「たす…けて…。たす…けて…」

と聴こえた。
なにかと思い裏口を開けて裏通りを見ると。
おばあさんが溝に深くはまっていた。
このおばあさんは、以前投稿した、お菓子をもらいにくる少年(まだもらいにくる)一家が住んでいた家に最近越して来られた1人暮らしのおばあさんだ。
うちの反対隣はデイケアのお世話になっているほとんど歩けないおばあさんが越してきて、そのおばあさんの知り合いなんだそうだが…。
アボジが助け出し事情を尋ねると、裏通りには洗濯機が置いてあって洗濯をしていたら、靴下が溝に落ちて、それを拾おうとしたらそのまま落ちてしまったそうだ。

静かで誰も通らない裏通り。
おばあさんは、まずは自力で脱け出そうと、体力温存のためにしばらくじっとしていたらしい。
そして、しばらくしたらアボジの気配を感じたので「たすけて」と発した。
アボジが助け出した時にはガタガタと震えて、鼻水をダラダラと流れていたらしいので、どれほどの寒さに耐えられたのだろう?

アボジが昼寝をしていたり、テレビを見ていたりしてたら完全アウトだった恐れもある。

うちの町内は何かと声かけがあったり顔を合わせる人たちも多いが、まさかのタイミングで孤独に怯えることになる。

一日の中で高齢者の人と縁のない方は、一回だけ一瞬だけ思ってみてください。
一日一回気にかける機会がある方は、二回気にかけてみてください。

助かる命があるかも知れない。

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