[恥ずかしい]ということ | デペイズマンの蜃気楼

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日々の想った事、出会い、出来事などなどをエッセイのように綴りたいなと。
時折偏見を乱心のように無心に語ります。

先日チセが通う中学校で文化祭があったらしく、数日前から「クラスでラップを歌うねん」と張り切っていた。
文化祭終わりでそのまま稽古に来たチセはさすがに疲労していて、多分「モノクローム」の稽古期間で初めて早く帰りたそうにしていた。
上の瞼と下の瞼の出会いを必死に阻止をしている。
「文化祭どうやったん?」と尋ねると、本番中に歌詞をド忘れしてステージ上で「すいません、歌詞を忘れました」と言ったとの事。

「で、どうなったん??」
と尋ねると「バカウケやった」と。

大人たちみんなで「バカウケやったんやったら良かったで」と励ました。


その翌々日の稽古でチセに「こないだの稽古、ものすごい疲れてたなー」と言うと「うん、めっちゃ疲れてた」と答える。
ステージにひとつ立つというのは相当な体力を消耗する。
それは二時間のステージに立っても三十分のステージに立っても同じだ。
でもチセの疲労はその体力ではなかったらしい。

「歌詞を忘れて恥ずかしかったからな…」
と。

その翌々日の音楽の時間で歌の試験があったのだが、チセの番になるとみんなが「今度は忘れんなよー」と囃し立てる。
「でもそれはイジメてるのではなく、笑いとして受け入れた上での事やろ?」
と言うとチセは
「そやねん、それはわかってるねん」と呟いた後に

「でもやっぱり恥ずかしい事やん?
ほんで[恥ずかしい]って、めっちゃ体力使うやん」
と照れ臭そうに困ったように笑った。


チセは最近、ちょくちょく名言を飛ばしてくる。
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