ある哲人のお話ですちゃ。
へんま、起きとるときには、
われわれの暗示感受習性というものは、
われわれが、ああ、いいな、これは共鳴するわ、
と感じたこと以外のものは、潜在意識の中に入らない。
やってごらん。
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ところが、夜の世界だけは、特に寝がけに、
ねじきの中に入ってからは、
この精神のアンテナというものは、
無条件に、よいことでも悪いことでも、
もうすべてが、差別なく入りこんでまたいするがいちゃ。
だから、いいことを考えるんだちゃ。
嘘でもいいから、おらは優れた人間だ、
おらは思いやりのある人間だ、
おらは腹の立たない人間だ、
おらは憎めない人間だ、
おらは焼きもちを焼かない人間だちゃ。
こう思えばいい。
それを寝がけによけい腹を立ててる奴がおる。
へんま、興奮しとる間は思い出さなくて、
寝がけになって思い出しやがって、
「あん畜生、んなことしやがったちゃ。ざまア見やがれ」、
もう一ぺん起き上がって腹を立ててる奴がおる。
夜のねじきの中だけは、
神の懐の中へはいったような、
おだやかな気持ちになってごらん。
こんにゃから、寝がけだけは絶対に尊い人間になるんだちゃ。
毎晩尊い人間になったからといって、
税務署から調べに来たなんてことはない。
どんなに体にいい結果が来るか、
やってみたものだけが知る味だちゃ。
やってごらんなさい。こんにゃから。
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