続けて載せてみます。遥か昔に書いていた小話、、詳しくはあとがきで(汗)
*注意*突然の版権ものです。幻水2です。
*1主:ナギ(一人称:俺)
2主:リュイ(一人称:僕)
城名:フィデリア
そのヒトはいつも、無愛想で不器用で。
だからなんとかしてあげられたら、と思うのです。
『Wind Talker』
ある日の穏やかな昼下がり。
数日の短い遠征から、リュイが数人の仲間と共に本拠地であるフィデリア城に帰ってくると、城に待機していた義姉のナナミが慌てて駆け寄ってきた。
とある人物の来城で、今ちょっとした騒ぎになっているという。ナナミに引っ張られるようにして大広間へと向かうと、そこはすでに沢山の人で溢れており、身動きが取れないほどの状態になっていた。ナナミが言うには、先の門の継承戦争での”トランの英雄”、ナギ・マクドールが偶然このフィデリア城に立ち寄り、かつての戦友達と再会を楽しんでいるのだという。それを聞いてリュイの心は躍った。”トランの英雄”のことは、かつて彼と共に戦ったビクトールやフリックから幾度となく聞かされていたから。
ざわめく人の波をかき分けていくと、やがて楽しそうな談笑が聞こえてくる。やっと一番前に躍り出ると、そこにはリュイと年の頃がさほど変わらないと思われる少年と、ビクトールやフリックなどの姿があった。
「よう、リュイ。いいところに帰ってきたな」
「――あ、ビクトールさんに皆、ただいま・・・」
驚きと興味が入り混じったような顔でやって来たリュイをすぐビクトールが見つけて、いつものようにニカッと笑いかけてきた。それと同時に少年が振り返る。
「―――ああ、彼が新しいリーダーなんだね」
黒髪に緑色のバンダナをした赤い服の少年は、リュイに歩み寄ると人懐こい笑顔を見せた。手を差し出されてリュイは少年と力強く握手を交わす。憧れの英雄と出会えて嬉しさのあまりリュイの頬は真っ赤に紅潮し、心臓はドキドキと早鐘を打っていた。
「俺はナギ。ナギ・マクドール。よろしく」
「り、リュイです。よろしく・・・!」
硬く握手したまま、ナギはまた人懐こく笑う。つられてリュイも笑うのだが、憧れの人の前で緊張のあまりその表情は強張ってしまっている。しかし彼のその笑顔を見ていると、自然と心が落着いてくるのだ。不思議な人だ、とリュイは思った。自分とそれほど年齢も違わないはずなのに、漂う雰囲気は大人のそれでとても落着いている。それに握手した時に感じた、紋章を有する者だけに分かる感覚・・・――これが、生と死を司る真の紋章ソウルイーター・・・・何処からとも無く湧き出た恐怖と力強さに、リュイはほんの一瞬、身震いした。
「そういえばナギ、グレミオはどうしたんだ?」
「今回は家で待ってるって。俺もグレミオも、久し振りにグレッグミンスターに帰ってきたばかりでさ。旅先でココのことはいろいろ聞いてて、一度来てみたかったんだ」
「そうだったのか。ま、ゆっくりしてけや。皆大歓迎さ」
「うん、じつはそのつもり。ちょっとの間、よろしく頼むね」
リュイは改めて、ビクトールと話しているナギを眺めていた。そうやって話している時は子供っぽさの残る普通の少年だが、ふいに見せる表情は大人びていてまるで隙が無い。
「・・・そういえば、アイツは?姿を見ないけど」
「アイツか?・・・うーん、アイツなぁ。どこにいるやら・・・いつもの所は?」
「そう思ってさ、さっき行ったんだけどいなかったよ。どこ行ったんだろ」
アイツ? 誰だろう、とリュイは首をかしげた。ナギは辺りをせわしなく見回すが、該当する人物はいないようだった。するといつの間にやらリュイの隣にやって来たナナミが、指でちょいちょいと袖を引っ張り耳打ちしてくる。
「ね、ね。リュイ、どうかしたの?」
「ん・・・何だか、誰かを探してるみたい。アイツ、がどうとか・・・」
「アイツ?」
ナギは背伸びしたりして、しばらくあたりを探していたのだが、どうやらあきらめたらしい。すると今度は、リュイとナナミのほうに向き直り尋ねてきた。
「ねえリュイ、アイツ知らない?」
「え?アイツって・・・」
「ああ、風使いだよ。石守してるはずなんだけど・・・」
「それって、ルックのこと?」
「そうそう、ルック!アイツだけまだ会ってないんだ。何処にいるか知ってる?」
「ルックなら、普段は石版の前だけど・・・時々、屋上にいたりとか、裏庭で本読んでたりとかするね」
「わたしもよく見かけるよー。リュイとよく話しかけに行くんだけど、大抵無視されちゃうんだ。気にしてないけどね」
「――ふーん、なるほど。でも相変わらず、つかみ所の無いヤツだなあ」
あはは、とナギは明るく笑う。
そういえば、ルックは門の継承戦争でも、彼の師匠であるレックナートと共に現れて戦いに参加している。ルックはよくナギと行動していたと、以前ビクトールから聞いたことがあった。だが当のルックはいつも無口で、なかなか話の輪にも入ってくれたことが無くリュイも寂しいと思っていたところだ。年も近いし、同じく真の紋章を宿していることもあって、よくリュイたちの方から話しかけに行くのだが、まともに返事をしてくれたことがない。もしかしたら、ナギが側にいることによって会話にも入ってくれるかもしれない。リュイもナナミも考えたことは同じだったのか、思わず頷きあっていた。
「あの、ナギ・・・さん。僕らと一緒に、ルックを探しに行きませんか?」
「一緒に行こ、ナギさん」
「うん、そうだね。じゃ、一緒に行こうか、リュイにナナミ」
目を爛々と輝かせている2人を見て、ナギは内心ほっとしていた。ルックには良い仲間――親友がいるようだ。3年前まではちょっと生意気でよくからかってきたが、しばらく会ってないうちに随分毒舌も増し人付き合いも悪くなったそうで、親友として心配していたところなのだ。ナギはリュイたちの提案を快く受け入れた。
** **
英雄ナギ・マクドールの突然の来城で城全体が歓迎ムード一色の中、城の最上階にある屋上は、まるで見捨てられたかのようにひっそりと静寂を保っていた。
ここではほとんど風の音しか聞こえない―――遠くの方で人々のざわめきが微かに聞こえる程度だ。そのせいか、よくフェザーが羽根を休めにやって来るのだが、今日は姿を見ない。恐らく空からの偵察に出ているのだろう。最近、ますます人が増えてきたこの城の中で、この屋上だけが人々の喧騒を避け、静かに過ごせる場所になった。そして、一人静かに風を感じる事が出来る場所でもある。
若葉色の法衣をはためかせ、ルックは屋上の端の石段に座って両足を投げ出していた。静かに呼吸を繰り返しながら、深く深く瞳を閉じる。風がそよそよと心地よく、法衣と同じ若葉色の髪を、頬を、幾度となく撫でる。まるで壊れ物のように優しく、ルックを包み込む風はつねに彼の味方だ。言うまでもなく、彼が真の風の紋章を宿す「風の申し子」所以だからであった。
今日ばかりは皆、英雄に酔いしれている。誰にも気兼ねせずに過ごすことができそうだ――が、それも当の”英雄”が邪魔をしてくれないに限るのだが・・・。
「―――やっぱりココにいたね、「風使い」」
望みもむなしく、にこやかな笑顔を浮かべながら問題の英雄は現れた。しかし、久々の再会であからさまに嫌な顔をするのもどうかと思ったので、ルックはちらりと視線を送った。無視されるかもしれないと思っていたナギだったから、彼の反応はなかなか嬉しいものだった。
「久し振り。会えて嬉しいよ」
「――僕は嬉しくないけど」
「ひっどいなぁ。もう少し歓迎してよ」
「――邪魔だよ。あっち行けば?」
「相変わらず冷たいね。ま、慣れてるから平気だけど」
やはり相変わらずか、とナギは苦笑すると、同じようにルックの隣に座って両足を投げ出した。ぶらぶらと中に浮いたような感覚がなぜか心地よく、不思議と落ちるかもしれないという危機感を感じない。ルックがこの場所を好んで過ごしているということが良く分かった。ここにいれば、つねに風を感じることができるし、何より静かで落着けるのだ。
「風が気持ち良いね。―――そうそう、新しいリーダーに会ったよ。とても力強い目をしてた」
「・・・ふうん」
「リュイは良いヤツだね。ちゃんとルックのこと気にかけてる。よく、話しかけてくれるんだって?」
「僕には迷惑なだけなんだけどね・・・」
「リーダーが仲間を気にかけるのは当然のことだろ。いつまでも意地張ってばかりじゃだめだぞルック」
「――今さら説教?遠慮したいね」
ふいに風が小さな突風となってナギの方へ吹き付ける。それは明らかに彼の苛立ちを伺えるもののようだった。
しばらくして音もなく立ち上がったルックは、そのまま石段の上を静かに歩いていく。
「・・・それより、何の用なの。突然やって来るなんてさ。何か訳があって来たんだろ?」
「いーや。ただ、ここの軍師にちょっと頼まれて、過去のデータを届けに来ただけさ」
「――へぇ、シュウらしいね。アイツはいつも、何考えてるのか分からないヤツだよ」
「ルックよりは分かるんじゃない?」
「・・・あんたのヘリクツなんて聞きたくないよ」
まるでルックの意志と同調しているかのように、彼の周りを風がゴウッと低い音を立てて轟き巻き起こる。
「―――あぁっ!!ナギさん、ルック!ここにいた!!」
「突然いなくなっちゃうんだもん~。探したよー!」
いよいよ険悪なムードがナギとルックの間に漂い始めた時、それを吹っ切るように屋上の扉が派手に開いた。息を切らして元気な姉弟が駆け寄ってくる。どうやら喧嘩にならずに済んで・・・というかナギには喧嘩する意思はこれっぽっちもなく、ルックがこれ以上機嫌を損ねることがなくなり、ナギはほっと小さく胸をなでおろした。
「ごめんごめん、2人とも。いろいろ探してくれたおかげで、久しぶりに会うことができたよ」
「良かった。でも屋上にいたなんて、先に来ればよかったな。ルックがいた場所一つ一つ回ってて、最後に思い出したんだもん」
「ほんとだね~。それよりさぁ」
リュイが安堵の表情を浮かべる。ふいに隣でナナミが空を仰ぎ見て、眩しそうに手をかざして微笑んだ。つられるようにリュイもナギもそれに続く――今日は本当にいい天気で、雲も数えるほどしかない晴天だった。
「いい天気だね~。風も気持ちいいし!」
「そうだね~」
数分前までのあのピリピリした険悪なムードはどこへやら、この姉弟の醸し出すほんわかした穏やかな雰囲気であたりは包まれていた。
(――俺の時と違う)
紋章を通して感じる、穏やかな気配。きっと、この姉弟のおかげだな――、とナギも安堵していた。久々に再会した風使いは、以前より大分大人びていて、初めて会ったときの小生意気さを欠片も感じさせなかった。必要以外の他人との接触をとことん嫌っているようで、ともに戦った仲間としてとても気がかりで――、でも心配はとんだ杞憂だったのかもしれない。
(――良い友達が出来たんだな、ルック)
いつの間にか姉弟に両端から盛大にかまわれてうんざりとした表情のルックが見える。けれどその表情のわりに感じる気配は思ったより穏やかで。
『――あなたは、その紋章を――運命を――すべてを、受け止めることができるの?』
いつか、投げかけられたその問いが、自分にだったのかそれとも――、ふと何時ぞやの、挑戦的な表情を思い出して、3人を遠巻きに見ながらナギはふっと笑った。あの時、咄嗟に答えられずにいた。それに、まるで彼自身にも問いかけていたような、そんな気がしていた。
「ねぇ、今から食堂にご飯食べに行こう?みんなで!ほら、行くよ~!」
「――ちょ、押さないでよ・・・!」
そんな中、ナナミが声を上げ、楽しげにルックの背を押して行くのを見ながら、ナギも歩き出す。
「・・・リュイ?」
ふとそばにいたはずのリュイが立ち止っていて、うつむいたまま黙っているから不思議に思ってそっと歩み寄ってみた。
「どうした?」と声をかけようとして、リュイがふいに顔を上げる。その顔が満面の笑顔だったから、ほっとしたのもつかの間、じっと瞳を見つめられてナギは思わず息を飲んだ。どうも心を見透かされているような――そんな気がしたから。
「ルックは大丈夫ですよ、ナギさん」
「――リュイ」
ああ。やはり見透かされていたか。ナギは盛大にため息をつくと、ははっ、と困ったように笑った。真の紋章を有する相手と久々にこんな至近距離で過ごしているのだから、本人が望まずとも感情が高ぶったりすると気持ちが一部共有されてしまうのも当然かもしれない。
「・・・うん、分かってるよ。ただ、アイツあんな性格だからさ、ずっと気になってたんだ」
「――僕もです。初めて会ったときから。たぶん、なんていうか――紋章が教えてくれたみたいで」
「そうか――」
お互いに、各々手の甲に刻まれた紋章を見やった。一つは、人を守護する盾の紋章、もう一つは人の命を奪う呪われた紋章――その力は両極端なれど、真の紋章同士、共鳴しあう――。
「僕・・・ナギさんに会えてよかった。この紋章のおかげで・・・、たくさん辛いこともあるけど、学べることもたくさんあるんだなぁって」
「うん。・・・強いな、リュイは」
「ぜんぜん、強くなんてありませんよ。ただ・・・辛いだけじゃないって思っただけです」
悲しげに微笑み、リュイはそう言うと、ナギの左手に目をやった。
「同じように辛い思いを分け合うことだって、できると思うんです。・・・さっきからソウルイーター(その子)を通じて心が伝わってきてる」
「・・・」
リュイの視線から外すように、ナギはそっと右手で紋章を隠した。――大切な人々の命を、いくつも奪ってきた呪われた紋章――もうこれ以上は、誰の命も奪わせない。そう誓って生きてきた。
「ナギさんの強い意志、感じます。――僕も負けませんから!」
歩み寄って、そっと重ねられた掌は、とても暖かく、リュイの澄んだまっすぐな瞳が視界に飛び込んでくる。
「・・・」
あの快活明朗な姉に負けず劣らず、リュイは明るい笑顔を浮かべる。その朗らかな表情はきっと、この城の人々を本当に元気にさせているのだろう。無愛想な風使いを心配していたはずが、いつの間にか自分が元気づけられているなんて。ふ、とため息のような笑みを浮かべて、ナギもまたまっすぐにリュイを見つめた。
「さ、行きましょう!ナナミとルック、きっと待ちくたびれてますよ」
「――うん、そうだね」
歩き出したリュイの背中を眺めながら、彼もまた、大きなものを背負っているな、とナギは感じていた。
リュイが視たように、ナギもまた――リュイの心を視ていた。
この子もまた、自分の心には不器用で
だから、なんとかしてあげたいと、思う――。
(――この子たちと、この城の行く末――、しばらくの間、見届けよう)
リュイの後を追いながら、ナギは深くそう思った――。
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毎度のごとく、感想のような。。
2004年に書き始めたらしい(笑)恐ろしいくらい時間経ってます。。近年ちまちま数行ずつ書いてたら、なんとなく形になったので。。
そんなわけで、幻水です!大好きなゲームです♪
普段版権ものってほとんど書かない(っていうか書けない(汗))ですが、奇跡的に生まれた一作です。。
2で坊ちゃんが仲間になるのを知って、必死で仲間に加えた(笑)のを思い出します(坊ちゃんめっちゃ強くて大活躍でした)。。いろいろうろ覚えなところもあって(紋章のこととか)雰囲気だけでも残ってたらいいな。。汗
1,2,3,4,5と外伝1,2とティアクライスとRhapsodiaと時紡!全部プレイしました。やっぱり一番面白かったのは2ですかね。。RhapsodiaもすごくSLRPGだったので戦い方が好きで、4様が出てくれたのが非常に嬉しくて。外伝もササ様が出てくれたしナッシュさん好きだし♪
好きなキャラはやっぱり風使い!!3でかなりショック受けてトラウマでしたけど、、変わらずやっぱり好き。。
あと1主と2主!フリックさん、4主と5王子!好きなキャラいすぎてどれかって決めれない・・・。
ほんとに懐かしいゲームになってしまったなぁ。。。もう新しいのは期待できそうにないですね。。。(プロジェクトチームもなくなったしね。。)
