偶然、フロントにいたウヨンさんが私宛の内線を聞いたらしく、ニックンさんに尋ねた。
すぐに私が危ないことがわかりみんなに話をしてあわてて助けに来てくれた。
「ニックンはミナのことになると…それにソムチャイに会ってから二人が…」ジュンケイさんがニックンさんと私を見る。
「もしかして、ニックンさんと私が気まずくなってたのわかってたんですか?」
バレバレだったみたい。
チャンソンさんがお腹すいたの言葉にホテルのレストランでご飯を食べることになった。
レストランまで歩いている途中、ニックンさんがじっと私を見ている。その瞳にクラクラしながらみつめかえす
「自分にとってなにが一番大切なのかがわかったよ。それはね…」
「えっ…」
最後のほうが小さくて聞き取れず、聞き直すと笑顔で肩を抱きしめられた。

「ミナはなにが食べたいの?」
「やっぱり、タイ料理です。」
あれから久しぶりのふつうの会話かできた。よかった。
歌謡祭の打ち上げってことでみんなで乾杯をする。
「みんなさん、お疲れさまです。とっても素敵なステージでした。」
「今回はミナが一番頑張ったと思うよ。」
テーブルにいろんなタイ料理が運ばれてくる。なんだ、かんだと言いながらみんなでワイワイ食事をした。
テーブルのうえにはほとんど食べ尽くされたお皿が…あと一口分の最後の料理を残すのもったいなくて私がそれを食べると…みんなが大声で笑う。
タイでは最後に残った料理を食べた人にはステキな恋人ができると言い伝えがあるらしく、みんなは私の行動をずっと見ていたの。
みんなに見られて真っ赤に…
ずっと、みんなにじっと笑いながら私を見ていた。

翌朝、夕方の便で日本に帰る予定でそれまではフリー。
朝早くからニックンさんに呼ばれる。
「ミナ、ちょっと付き合って欲しいところがあるんだけど、早くしないと誰かに取られそうだから」

すぐに別の方から「ミナ~」って甘えた声を出すジュノさんを先頭にメンバーが私を探して近づいてくる。
ニックンさんは私の腕をひきあわてて身を隠す。
それから、タクシーに乗り1時間ほどたって、着いたのはニックンさんの部屋に飾ってあったタイの風景画の場所だった。
「ミナをここに連れて来たかったんだ。」
優しさが胸いっぱいにひろがって嬉しかった。
「ソムチャイとの事、本当にごめんね」
気にしていたニックンさんは謝ってきた。
ニックンさんは悪くないし、むしろ私が余計なことをしたから…
「タイの街は気に入ってくれた?」
「大好きになりましたよ。」
こんどは二人きりで来ようと約束する。

つづく…
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